放射脳的風説の例

「被曝の影響は未解明な部分が多いのだから厳重に警戒すべき」
 ⇒「未解明な部分が多い」のではなく、現在では500mSv以下での健康への影響は認められておらず「健康を害する他の要因との区別が出来ない程影響が小さい」という事が解明されて定説となっている。
  具体的数字を挙げれば100mSv以下の被曝での癌や白血球異常、不正出血などの発症は確認されておらず、遺伝子への影響も認められない。
  現在の被災地では最高でも50mSvを超える被曝環境は無く、ほとんどの居住地域では20mSv以下と計測されている。 こうして「解明されていない」という点を   誇張する事が「僅かな放射性物質の混入も許さない」という過剰反応に繋がっている。
  ちなみに:補足すると、CTスキャン1回で約20mSvを被爆する。
「事故後、放射能の基準値が大幅に緩和された、引き上げられた」
 ⇒食品等に対する放射線量基準値は、福島原発事故以前は輸入品に対する基準値(360Bq/Kg)しかなく、国産品に対する基準はなかった。
  事故発生直後、それまで規制のなかった国産品に緊急対応として500bq/kg(一般食品)の基準を設け(ちなみにこの数値はEUのそれを引用したもの)、その後2012年4月より現行の100Bq/Kgに設定されたため、事実上は段階的基準値の引き下げ(厳格化)となっている。
  ちなみにアメリカの基準値は1200Bq/kg、EU加入前のイギリスのそれは1270Bq/kgである。
「日本の居住許可20mSv/年はチェルノブイリでは強制避難レベル」
 ⇒一応内容としては正しいのだが、チェルノブイリの現状の避難レベルが政治的に決められた経緯がある事を無視している。
  チェルノブイリ事故の際は1年目10rem/年(100mSv/年)、2年目5rem/年(50mSv/年)、3年目・4年目が2.5rem/年(25mSv/年)で、
  5年目が現在の日本と同じ2rem/年(20mSv/年)である。この間にソ連は新しい基準として生涯被曝量35remを報告書にまとめ、ソ連崩壊後、チェルノブイリ事故関係各国がこれに基づいて5mSv/年を設定した。
  しかしソ連の生涯被曝量35remは西側の批難をかわすためにまとめられた文書の中の数字で、医学的根拠に乏しいとされる。
  またベラルーシ、ウクライナは国土が狭いためチェルノブイリ30km圏外の再入植を始めているが、汚染状況は福島第一とは比べ物にならず5mSv/年という自国基準が守られているかどうかも甚だ怪しい。
測定関連機器の誤使用
 ⇒事故後の線量への関心の高まりから、手軽に空間線量計(ガイガーカウンター)が入手できるようになったのに伴い、機器の誤使用による誤った測定値や機器の画像がネット上に流布されるようになった。
  当初は単純な勘違いや誤使用によるものが多かったが、事故より年数を経た現在でも、使用方法  の誤りを指摘されつつも誤った使用方法のままの数値や画像を拡散している例が散見される。。