>>1のつづき

3.人権後進国である日本に対する国際社会の不名誉な見方
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残念ながら、日本における迫害や人権侵害が理由で他国に保護される人がいることは、実は新しい話ではありません。

以前のブログでも紹介した通り、日本出身の難民も世界には一定数います。UNHCRの統計資料によれば、世界で難民と認定されたあるいは何らかの人道的保護を与えられた日本人は、2009年〜2016年の期間、59人〜263人の間を推移しています。

また少し前の事例になりますが、日本における非嫡出子に対する差別を根拠にオーストラリアで難民認定された日本人の方もいますし(但し現在は非嫡出子に対する差別的条項は改正)、アフリカ出身の男性と結婚して生まれたお子さんが日本の公立学校でひどいイジメに遭い、しかもその状態に日本の公的機関が有効な措置を採らなかったので、イギリスで人道的保護が与えられた日本人の方もいます。

実は先進国の多くは難民認定審査において、「通常は迫害が起きない国なので、その国から来た難民申請者については真剣に審査しなくて良い国」を、「安全な出身国」としてリスト化しています。(このリスト化自体の良し悪しについては多々思うところはあるのですが)、ここで非常に不名誉なのは、この「安全な出身国リスト」に必ずしも日本が入っている訳ではない、ということです。(日本を「安全な出身国リスト」に入れていることを現時点までに私が確認できているのは、オランダ、デンマーク、マルタ、スロヴァキア。)

言い換えれば、日本はその他の多くの国によって「日本では個人の人権が蹂躙されたり、日本政府が個人を迫害から保護できない可能性があるから、日本から逃げて来た人はとりあえず保護することを真剣に検討しなければならない」と見なされていることを意味します。

確かに、何が国際法上に言う「迫害」なのかは専門家の間でも必ずしも完全な国際的合意がある訳ではないのですが、日本が難民条約に加入するか否かを審議していた1981年5月29日の国会で政府委員が、迫害とは

【たとえば生活手段を剥奪される結果生存に著しい障害が生じるというような場合とか、あるいは不当な拘禁、軟禁あるいは強制労働等、その当該個人の身体の自由が害されるおそれがある場合が『迫害』の具体的な事例かと思うわけであります。】

と答弁しています(法務委員会議録第十七号昭和五十六年五月二十九日六頁。また栗山尚一外務審議官(当時)も1981年6月2日の外務委員会で同様の発言)。

この答弁内容に則れば、「生活手段を剥奪される結果生存に著しい障害が生じ」、「身体の自由が害されるおそれがある」ためにイギリスに逃れたのが伊藤詩織さん、ドイツに逃れたのが辛淑玉さんとあてはめることができるでしょう。

日本が、「迫害や人権侵害を行うまたは放置・黙認するような国家」だと見做されてしまうような事件、そのような国際的な評価を強化し裏付けてしまうような事件が今、次々と起きているのです。

そのような日本について「誇らしい」と思えるでしょうか? 

また、日本におけるこのような人権侵害や迫害を放置していたらどうなるのでしょう?

「明日は我が身」です。

・・・おしまい☆