米朝会談はかなりの成果を挙げるだろう。国内事情などからすぐさま大きな功績が必要なトランプ米大統領にとって、北朝鮮の核放棄ほど素晴らしい政治的功績はない。核保有は手段に過ぎず、最終的な目標は政権維持である北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長も、米国と仲たがいしようとは考えていない。

 しかし、北朝鮮の核放棄が南北の蜜月時代を開き、南北統一につながるだろうという見方は危険だ。核放棄・韓国戦争(朝鮮戦争)終戦協定は目の前の大きな目標ではあるが、問題の本質は、北朝鮮経済の今後のヘゲモニー(覇権)を中国が掌握することになるという事実にある。石油や市場経済など、北朝鮮は現在も中国経済圏の一部だが、北朝鮮が本格的に改革・開放の道を歩むことになれば、中国は巨大な資本を動員して北朝鮮を奪ってしまうだろう。天安門事件の再発を何よりも恐れている中国指導部は、間違いなく中国に民主主義を広めるであろう南北統一を絶対に放っておくはずがない。したがって、中国の投資は市場論理というよりも体制維持の見地から想像を絶する規模で行われるだろう。これに対し、韓国企業各社はリスクの高い北朝鮮に投資することを恐れているため、北朝鮮は中国側にすり寄ることになる。

よって韓国政府が北朝鮮経済の枠組み構築について頭を痛めず緊張緩和にのみ尽力すれば、北朝鮮と中国をいっそう接近させ、南北統一を永久に遠ざけてしまうという歴史に残る失敗を犯すことになる。

 ここで、2つの重要な見方を提示しようと思う。1つは「ジャパン・パッシング(Japan passing=日本外し)」を防止しなければならないということだ。

この70年間、韓国は米国・日本と三角同盟を形成、歴史上最高の繁栄を謳歌(おうか)してきた。自由主義・民主主義・資本主義の理念を共有するこの3カ国は、体制が全く異なるロシア・中国・北朝鮮の手荒い挑戦を阻み、平和と繁栄を守ってきた。

韓国経済の成長を深く観察すると、米国に負けず劣らず日本の寄与もあったことが分かる。

 韓国で戦争が発生した時、共に戦ってくれるのも米国と日本だ。韓国は今、新たな一歩を踏み出したが、必ず成功するという保障はないし、もし成功したとしても予期せぬ危険が常に存在するため、在韓米軍と韓米日同盟をむやみに解体してはならない。

つづく

朝鮮日報 2018/05/13 05:05
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2018051101251

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