WW2では日本が破れ、勝ったはずの中華民国も国共内戦に敗れることになった。
中国共産党(毛沢東)が勝利した。そして毛沢東はその後死ぬまでの戦いに勝利し続けている。
なぜか?
それは戦争に政治目標を定め、それを達成することを勝利と見抜いていたからである。
理論上はクラウゼビッツの時代からある限定戦争を実践的な形で世界に示して見せたのが毛沢東である。

鳥居民は毛沢東がWW2後「ソ連一辺倒政策」をとったのは来るべき核開発のためであるとし、
また朝鮮戦争への介入の決断はソ連軍の満州駐留をさけるためのギリギリの決断だったとしている。
さらに台湾海峡危機・金門島砲撃は台湾のSEATO加盟を妨害するための政治的限定戦争だったと看破している。
そのほか中印紛争にいたるまで毛沢東の戦争には軍事的成果とは別に「政治的」な目標が必ずある。
台湾海峡で優勢にあるのに引き下がったのは、紛争を見た東南アジア諸国が台湾のSEATO加盟に総反対したからである。
政治目標達成を見届ければそれ以上追求しない。下手に勝って蒋介石政権が崩壊でもしようものなら
招来の台湾併合の口実を失う(一つの中国論)ことになりかねない。やりすぎないのが毛沢東の限定戦争であった。

WW2の時代でいえば毛沢東、スターリン、ルーズベルトやチャーチルの大政治家に対し、日本の政治家は足元にも及ばない。
最初から勝負にならないのである。