・160億ドル相当の中国製品への関税は2週間以内に発効し得ると大統
・最終的に5500億ドル相当が対象になる可能性があると示唆

トランプ米大統領は6日未明に中国からの輸入品340億ドル(約3兆7600億円)への追加関税を発動し、
世界的な貿易摩擦問題で最も大きな号砲を放つ意向を明らかにした。ただ、米国の関税発動は報復の連鎖を生み、
世界経済に打撃をもたらす恐れがある。

  トランプ大統領は5日、大統領専用機の機内で記者団に、
中国製品への関税を6日午前0時(日本時間午後1時)過ぎに発動するとした上で、
別の160億ドル相当の中国製品への関税は2週間内に発効し得ると述べた。
また、最終的に5500億ドル相当の中国製品が対象になる可能性があると示唆した。
これは中国の年間のモノの対米輸出額を上回る。

  米税関当局はワシントン時間6日午前0時1分から、中国から輸入される耕運機や半導体、
航空機部品などへの25%の追加関税の徴収を開始する。トランプ大統領は中国が米知的財産権を侵害し、
米貿易赤字を不当に膨らませていると非難してきたが、直接、中国産品を標的に関税を課すのは初めて。

  トランプ政権発足後で最も危険なこの賭けは、世界的に企業や消費者の負担を増やし、報復の連鎖を招く恐れがある。
中国は米国産大豆や豚肉などに同程度の報復関税を発動させると表明している。
そして中国の対米関税導入はトランプ政権のさらなる貿易障壁を招きそうだ。

  オバマ前米政権で米通商代表部(USTR)の次席代表を務め、
現在は法律事務所クロウェル・アンド・モリングのパートナー、ロバート・ホリマン氏は、
「いったん関税が発動し始めたら、争いが現実となることは極めて明白だ。
解決策を見つけられなければ、坂を転がる雪玉のように加速するだろう」と指摘した。

  米国が導入した鉄鋼・アルミニウム輸入関税は同盟を組むカナダや欧州連合(EU)の報復措置を招いた。

  米中の関税導入は、9年に及ぶ米景気拡大を危険にさらす可能性がある。
米中企業間の貿易はコスト上昇に伴い製品の値上がりにつながり、需要が圧迫される見通し。
国際通貨基金(IMF)は、貿易摩擦が長期化すれば、世界経済の2011年以来の力強い伸びが抑制され得ると警告している。

  両国経済がどの程度打撃を受けるかは、今後の展開次第だ。ブルームバーグ・エコノミクスの推定によれば、
米中による最初の関税の応酬だけで済めば、わずかな影響にとどまる見込み。
しかし、米国が中国以外にも10%の関税を課し、それに対し報復措置が講じられる全面的な貿易戦争となれば、
米成長率は20年までに0.8ポイント押し下げられると予想される。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの世界経済調査責任者、
イーサン・ハリス氏は、第一弾となる340億ドル相当の中国製品への関税賦課の影響は「極めて小さい」が、
「戦死者が出るまで戦争は終わらない」だろうと指摘。
「米中双方が若干の痛みを感じ始め、勝利には犠牲を伴うと理解するまで、数カ月は続くだろう」と述べた。

原題:Trade War Threat Gets Real as Trump Confirms China Tariffs (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.com/politics/articles/2018-07-05/trump-s-trade-war-threat-to-turn-reality-as-china-tariffs-begin

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-05/PBEYN76K50Y201