米国と中国の間の貿易紛争が「チキンゲーム」に突き進む中で、対ドルでウォンが一時1130.20ウォンまで急落した。昨年10月27日に記録した場中の1131.90ウォン以来、8ヶ月半ぶりの最低値だ。韓国ウォンに影響を与えるドル=人民元も大幅に下がり、当分のあいだはウォン安は避けられない状況だ。

12日、ソウル外国為替市場でドル当たりウォンは前日の終値よりも7.10ウォン下落した1127.10ウォンで開場した。続いて午前中に一度は1130ウォン台を記録したが、1125.90ウォンで取引きを終えた。先月29日に年低点を1124.20ウォンで書き換えた後、約2週間後に再び塗り替えたわけだ。この日の前半に1130ウォン台を突き抜けた「ドル高」の要因は、前日に浮上した「G2貿易戦争全面戦争化」に対する不安だった。

先だって米国通商代表部(USTR)が10日(現地時間)、年間の中国産輸入額の半分に達する2000億ドル規模の製品に10%の追加関税を賦課すると乗り出し、中国も「報復するしかない」と対抗する方針を明らかにして、貿易戦争の懸念が大きくなった。

ウリ銀行のミン・ギョンウォン研究員は、「米国の追加関税措置がニューヨーク市場の締め切り後に出てきたニュースであることから、現地時間11日にドル高が本格化し、再び今日の中国や韓国などのアジア通貨市場に影響を及ぼした」と分析した。

ただしこの日、中国政府の対応策はすぐに出てこなかった。ミン研究員は「燃え上がった不安心理が少し静かになった」とし、「中国は追加報復を示唆したが、両国の貿易規模の違いを考慮すると、中国が使えるカードはあまりない状況」だと述べた。

クォン・オギュSM投資顧問外国為替諮問部長も、「外国為替市場を動かす外国人投資家の動向を見ても、まだ株の大量売りのような危険信号は表われず、国内債券への資金流入も安定している」とし、「市場心理が米・中間の交渉可能性に重量を置くだろう」と分析した。

とは言え、人民元安が米・中の貿易紛争問題とともにしばらく続くとの見通しが多く、人民元の行方にしたがうウォンもまた当分のあいだは弱気が避けられない。この日、中国人民銀行はドル=人民元を前日よりも0.0492元(0.74%)下げた6.6726元で通知した。一日の切り下げ幅では2017年1月以来の約1年半ぶりに最大だ。

域外市場で人民元の価値が6.72元にまで落ちて、人民銀行も市場価値を反映したものと思われる。

中国が米国の関税賦課措置に対応して「強ドル・弱人民元」を活用しているという分析も出ている。人民元の価値がドルよりも低く維持されると、対米輸出で価格競争力を持つことになる。米国の関税賦課の効果を半減させることができるという意味だ。

ただし、中国の人民元安は有利なだけのカードではない。ミン研究員は「今は人民元の弱気の速度があまりにもはやく、中国が資本流出を心配しなければならない状況」だと指摘した。ハナ金融経営研究所のチャン・ボヒョン首席エコノミストも「短期的には使えるカードだが、通商摩擦のまた別の口実を提供することがありうる」と述べた。

この日、ドル当たりウォンが1130ウォン線で再び「支持線」を作るやいなや、金融機関も急いで為替の見通し予測値を修正する雰囲気だ。

パク・チョンフンSC第一銀行の首席エコノミストは「年初にドル=ウォンの値の予測値を1030ウォン前後で提示したが、最近の米・中の葛藤リスクを反映して1100ウォンに修正した」と述べた。ウリ銀行も当初は1020〜1090ウォンで設定した予測値を、第3四半期は1080〜1140ウォンに調整した。

ただし、米・中貿易戦争が静かになると予想されている11月の米国中間選挙以降、再び「ウォン高」が現れるという見通しが多い。チャン首席エコノミストは「国内の外国為替需給が良好なうえ、今後は韓半島の平和議論が進展すれば、第4四半期には年初の水準である1060〜1070ウォン線に戻ることができると思う」と述べた。


毎日經濟新聞日本語版 2018-07-13 16:08:23
http://japan.mk.co.kr/view.php?type=M1&;category=30600004&year=2018&idx=8317