強制連行【きょうせいれんこう】


日中戦争の激化に伴う労働力や軍要員不足を補うため,日本が敗戦まで国策として行った朝鮮人,中国人の大規模な強制的労働力の動員。
1938年の国家総動員法,1939年の国民徴用令に基づき日本内地,樺太,南方方面に投入,内地では炭鉱・鉱山,軍事工場,土木などに多く配置された。過酷な労働下で花岡事件や浮島丸事件などの悲劇が生じた。
女子挺身隊とか女子愛国奉仕隊の名のもとに駆り立てられた従軍慰安婦もこの一環である。日本政府は戦後の国交回復時に国家間における謝罪・賠償問題として決着がついているという立場である。
しかし中国・韓国などには,領土問題等と関連させて過去のアジア侵略をめぐる日本政府の歴史認識問題の一環としてこの問題を政治問題化させる動きがある。
2014年3月,強制連行をめぐって日本企業を被告とした北京の原告団の訴えを北京市第1中級人民法院(地裁に相当)が中国で初めて受理した。
これ以降河北省唐山市,同省滄州市,同省衡水市でも元労働者らが地元裁判所に訴状を提出。
河南省などでも提訴を目指す動きがある。
訴えを起こす可能性のある元労働者やその遺族の人数は約4万人規模となるという推測がある。さらにこの動きは韓国と連携し,すでに韓国では裁判所が原告勝訴の判決を出しているという経験をふまえて中国各地で訴えを起こす計画とされている。