「アジア大会・柔道」(1日、ジャカルタ)

東京五輪から採用される男女混合団体戦で、日本は金メダルに輝いたが、思わぬドタバタ劇もあった。準々決勝では韓国と対戦し3勝3敗で並んだが、一本勝ち3つの日本に対し韓国は2つで、日本が勝ち名乗りを受けた。

なぜか韓国チームが抗議し、畳の上に約10分間座り込む事態に発展したが、韓国側が大会ルールを“勘違い”していた可能性が濃厚となった。

今年改正された国際柔道連盟(IJF)のルールでは指導差による優勢勝ちがなくなり、指導3つによる反則負けはすべて「一本」扱いとなる。

今大会は、両チームの勝ち数が並んだ場合は「一本勝ち」の多い方の勝ちというルールを採用していた。各チームの首脳陣には、はっきりと文面化はされていなかったものの、事前に英語でアナウンスされていたという。

ただ、20日開幕の世界選手権(バクー)で行われる混合団体戦では「一本勝ち」か「優勢勝ち」かに関わらず、勝利数で並んだ場合は代表戦に持ち込まれることが決まっている。

ややこしいことに、旧ルールで行われた昨年の世界選手権の場合とも異なっており、大会ごとにルール確認を徹底する必要があった。

日本は、男子の井上康生監督、女子の増地克之監督を通じて、ジャカルタ入り前からルールを確認していた。海老沼匡(パーク24)は「一本と技あり(優勢勝ち)では差をつけると聞いていた」と説明し、「あれは韓国の勘違いだと思う」と話した。

勘違いを裏付けるように、日本の2勝3敗で迎えた大将戦では、一本負けだけは避けなければいけないはずの韓国の金成民が、勝ちを確信したのか緩慢な動きで反則負けとなった。

対する日本の影浦心(日本中央競馬会)は、「前の試合のポイントを数えて、自分が一本勝ちしないといけないことはわかっていた。試合時間内(4分間)に決めようと思っていた」という。果敢に背負い投げをかけ続けて、わずか3分足らずで指導3つの反則=一本勝ちを奪い、勝負を決めた。

ただ、この数日間でルール情報も二転三転していたといい、井上監督は「非常にかわいそうな部分もあった」と相手に同情した。

しかし、前日のドロー抽選の際も、念押しするように「一本勝ちと優勢勝ち(技あり)は差をつける」という今大会の団体戦ルールは再確認された。「大会運営やルールなど、我々もしっかり把握しなければいけないとあらためて感じた」と、他山の石として教訓にしていた。


2018.09.01
https://www.daily.co.jp/general/2018/09/01/0011600218.shtml