(朝鮮日報日本語版) 五輪でもないのに…南北会談一色のソウル市に「やり過ぎ」の声

9/16(日) 22:58配信

 今月11日、ソウル市中区にあるソウル図書館の外壁に、大きな垂れ幕が掛けられた。4月27日の南北首脳会談(板門店)での両首脳の握手姿と共に「南北首脳会談の成功を祈ります」という文字が大きく書かれていた。今月18−20日に平壌で行われる「第3回南北首脳会談」を控え、ソウル市が会談の成功を祈って大々的な広報活動に乗り出している。南北首脳会談の前後に、あらゆる手段を使ってソウル全域に平和ムードを広めようというわけだ。

 ソウル市は先週から、首脳会談に関するさまざまな広報事業を展開している。広報には市の費用で造成された南北協力基金3億7900万円(約4000万円)が投入される。首脳会談終了後も一部の看板などは1か月ほど市民の目に触れていることになる。一部市民は「政府の関連部局よりもソウル市の方が会談の広報活動に熱を上げているようだ。いっそ市費で北朝鮮を支援した方が良いのではないか」と指摘する。

 ソウル市によると、首脳会談後の1か月間、地下鉄の駅の広告看板57か所に南北首脳が握手する写真を設置するという。会談の前後には、25の区庁舎の外壁に大型の韓半島旗(統一旗)が設置される。世宗大道など主要道路沿いにも韓半島旗が掲揚される。ソウル市が運営する約3万3000か所の映像掲示板には南北首脳会談の成功を願う文言が流れる。ソウル駅近くの歩行者専用道路「ソウル路7017」沿いのメディアファサードでは韓半島旗、ハト、二人の握手の様子などで構成される映像が流れる。また、600万ウォン(約60万円)を投じて世宗文化会館の中央階段を統一の希望メッセージで装飾した。

 さらに、首脳会談の生中継映像を流すために、大型LEDスクリーンがソウル広場、光化門広場南側、東大門デザインプラザに設置される。ソウル市はまた、7000万ウォン(約700万円)を投じ、ソウル広場南側花壇の花で韓半島旗をデザインする。

 ソウル市が、五輪のような国際イベントではない国の行事に数億ウォン(数千万円)の広報費を投じるのは極めて異例だ。ソウル市は先月2日から、南北協力チームを南北協力担当館に拡大し、人員を4人から12人に増員するなど、南北交流事業に力を入れている。これについては、南北交流を実績の一つにしたい朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の意志が込められているとの分析が示されている。朴市長は今回の南北首脳会談の訪朝団に名を連ねている。延世大社会学科の柳錫春(リュ・ソクチュン)教授は「首脳会談の広報費用も市民の税金で賄われているのだから、政府主催の行事の広報に市が過剰に関わっていいのか十分に検討すべき」と指摘した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180916-00002231-chosun-kr