これについてある外交筋は「韓国と北朝鮮、そして米国の間で年内に終戦宣言を行いたいと考える文大統領と、およそ40日後に中間選挙(11月6日)を控えたトランプ大統領とでは現状に対する見方に多少の違いがあるようだ」との見方を示した。例えば北朝鮮が米国に要求している「相応の措置」の一つである終戦宣言についても、韓国大統領府は「深い意見交換が行われた」と説明したが、ホワイトハウスは特に何も言及せず、北朝鮮に対する制裁と非核化を最優先にする方針を改めて強調した。この点でも双方には微妙な立場の違いがあるようだ。
文大統領は会談で「南北の間では良い話し合いが行われ、北朝鮮の非核化についてもより進展した合意が取り交わされた」「北朝鮮の核放棄は北朝鮮でも後戻りできないほど公式化された」などと説明した。文大統領はさらに「金正恩氏は世界のメディアの前で自ら非核化の意志を表明した。(私は)15万人の平壌市民の前で金正恩氏との非核化合意を改めて強調した。これには非常に大きな意味がある」と説明した。その上で文大統領は「米朝首脳会談の早期開催と成功を願っている」との考えをトランプ大統領に伝えた。
これに対してトランプ大統領は「われわれは金正恩氏と共に(会談が行われる)場所について話し合いを始めるだろう。現時点で場所は決まっていないが、早期に会えそうだ」との見方を示した。トランプ大統領は金正恩氏について「非常に開放的で素晴らしい。米朝関係は良好で、見方によっては特別とも言える」と評した。ただしその一方でトランプ大統領は「性急に物事を進めるようなことはしない。何が起こるか見守ろうと思う。やるべきことは多く残っている」と含みも持たせた。
トランプ大統領は「米国は過去のいかなる時よりも経済的に発展している。米国には非常に大きな潜在力がある」と述べ、自国の経済を自画自賛した。さらに「わずか2年でこれほどの数値を出せるとは誰も考えていなかった。一時は米国から去った企業が再び米国で活動している」とも強調した。トランプ大統領は他国の首脳との会談でも米国の国内問題にたびたび言及してきた。
(中略;会見後の資料説明)
このようなホワイトハウスの説明について、一部では「北朝鮮が保有している核兵器、核物質、核施設などに対する報告の手続きについての言及がないまま『担保なき終戦宣言』が行われることに対する米政府の懸念が反映されている」との見方もある。非核化交渉が膠着(こうちゃく)状態にあり、これが今後も長期化しそうな状況にもかかわらず、南北共同連絡事務所が早期に設置されたことについても、韓米両政府の間では何度も意見の食い違いがあった。韓国大統領府のある関係者は、韓米両国の間で首脳会談の結果に関する説明に温度差があったことについて「双方が資料を別々に作成したのだから、違いが出てくるのは当然だ」と説明した。
トランプ大統領は首脳会談直後に行われた韓米自由貿易協定(FTA)改正の署名式直後、文大統領に万年筆をプレゼントした。
鄭佑相(チョン・ウサン)記者 , ニューヨーク=イ・ミンソク記者
ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版<韓米首脳会談:食い違う説明、両国の温度差が浮き彫りに>
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/09/26/2018092600652.html