■大阪高裁に向かう大阪朝鮮学園の関係者たち
http://chosonsinbo.com/jp/files/2018/09/DSC_7642_R.jpg

原告の請求を全面棄却

大阪朝鮮学園が原告となり日本国に対して高校無償化制度の施行規則に基づいた指定の義務付けを求めた裁判(大阪無償化裁判)の控訴審判決が9月27日、大阪高裁で言い渡された。高裁は原告が勝訴した一審判決を取り消し、指定義務付けを却下するなど、原告の請求を全面的に棄却する著しく不当な判決を下した。

1審判決は、司法が良心と法の支配に基づいて日本国の差別行政を糾し、大阪朝鮮学園への指定を義務付け、生徒たちに就学支援金を支給するよう命じた画期的な全面勝訴判決だった。しかし、2審判決は一転して「行政訴訟において国側を勝たすために書かれた、典型的な結論ありきの判決」(金英哲弁護士)となった。

1審で敗れた国側は、控訴理由書で自らの都合に沿うように教育基本法の抽象的な規定を数多く持ち出して行政裁量を広げつつ、朝鮮学校に影響力を行使する朝鮮総聯が反社会的な活動を行っているかのような印象を与えて、「不当な支配」のもとにある朝鮮高級学校の教育内容が教育基本法の理念に反する疑いがあるとする主張を展開した

■高裁は1審勝訴判決を覆す不当判決を下した
http://chosonsinbo.com/jp/files/2018/09/DSC_7867_R.jpg

控訴審判決は、国側の主張を反映したかのように朝鮮総聯と朝鮮学校の関係性に焦点が置かれた。

判決は、両者の間に幹部レベルでの人事交流、財政的な支援、総聯傘下団体・事業体の教育への関与(傘下出版社が発行する教科書の利用など)があるという根拠を並べながら、朝鮮学校が「教育の自主性をゆがめるような支配を受けている合理的な疑い」があり、「就学支援金の管理が適正に行われないことを疑わせる相当な根拠があるということができる」とした。

このことから、朝鮮学校が教育基本法16条1項にいう「不当な支配」を受けている疑いがあるため、規程13条(適正な学校運営)適合性があるということはできず、文部科学大臣の裁量権の逸脱又は濫用があるということもできないとして、不指定処分は違法とはいえないと結論づけた。また規程13条適合性が認められないことから、規定ハ号削除の違法性に関する争点を回避した。

この日、法廷では大阪朝高の女子生徒21人がチマチョゴリを着て傍聴席の前列に座っていた。彼女たちこそが日本政府の差別を受けている当事者であるにもかかわらず、無償化裁判が「朝鮮学校の子どもの人権にかかる裁判であるにもかかわらず、裁判長はそのような視点を全く持っていなかった」(丹羽雅雄弁護団長)。

生徒たちの存在を無視するかのように、裁判長は判決の主文を冷たく言い放ち、その場を去っていった。法廷は一瞬、静まり返ったが静寂はすぐさま怒号に変わった。

「人間の心がないのか!」「恥ずかしくないのか!」

■高裁前では司法による差別を糾弾するシュプレヒコールが響き渡った
http://chosonsinbo.com/jp/files/2018/09/S__36651254_R.jpg

「不当判決」「子どもたちを司法が見捨てた」

高裁の外で無償化弁護団が垂れ幕を掲げると、その場に駆けつけていた多くの同胞や支援者たちの怒りが爆発。司法による差別を糾弾するシュプレヒコールが響き渡った。

記者会見にのぞんだ無償化弁護団の丹羽雅雄弁護団長は、1審判決は民族教育の重要な意義と朝鮮総聯と民族教育との協力関係が持つ歴史的役割をも判示したが、今回はその論点が抜け落ちていたと非難。

また、国連の人種差別撤廃委員会が2014年の審査時に続き、今年8月の総括所見でも日本政府に対して高校無償化制度を適用するよう勧告しているにもかかわらず、「政府は時代の流れに逆行している」と警鐘を鳴らした。

大阪朝鮮学園の声明文を読み上げた玄英昭理事長は「不当判決を言い渡した大阪高等裁判所に対して強い憤りを覚え、悔しさで震えが止まりません」と声を震わせながらも、ただちに上告して勝利する日まで闘い続ける意志を示した。

2018.09.28 (11:52)
http://chosonsinbo.com/jp/2018/09/%E3%80%88%E5%A4%A7%E9%98%AA%E7%84%A1%E5%84%9F%E5%8C%96%E8%A3%81%E5%88%A4%E3%80%891%E5%AF%A9%E5%8B%9D%E8%A8%B4%E3%82%92%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%B6%88%E3%81%99%E4%B8%8D%E5%BD%93%E5%88%A4%E6%B1%BA%EF%BC%8F/

>>続きます。