■ イ・ジェホ
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世界的地政学者であるロバート・カプランは『地理の復讐』で、韓半島(以下、朝鮮半島で)の人為的分断線は地政学的必然性が全くないため、朝鮮半島は統一されるべきだと言及している。カプランはドイツやベトナム、イエメンなど、理念によって人為的に分断された国々が意図せず予測できない歴史の進行によって統一した事は、地政学的歴史的必然性の作用と見た。また、アメリカ陸軍士官学校は数年前、2025年に朝鮮半島が統一すると予測した報告書を出した。

朝鮮半島は世界の4大強国であるアメリカ、日本、中国、ロシアが周辺を取り囲む、特異な地政学的位置にある。朝鮮半島がいずれかの国の影響圏に入れば他の国々が直ちに影響を受ける事となり、東北アジアの情勢が変わる。我が民族同士で統一してみようというロマンチックな発想もあるが、これは国際政治の厳しさを無視した発想である。

朝鮮半島が統一されるには4大強国のうち、少なくともいずれかの国の支援を受けなければならず、他の国が積極的に反対してはならない。19世紀にビスマルクがドイツを統一した時の状況は、現在の朝鮮半島の状況に似ている。ビスマルクはロシア、オーストリアの暗黙的支援を受け、イギリスが反対できないようにする卓越した外交戦略で、当時最強国だったフランスを撃破して統一を果たした。

20世紀にも西ドイツのコール首相はアメリカの支援を受け、分断していたドイツを統一させる事ができた。4大強国のうち、朝鮮半島統一を支持する立場を明確にした国はアメリカである。アメリカの外交政策は国益を優先するが、道徳的理想を重要視する伝統がある。アメリカからすれば、自由民主主義的な朝鮮半島の統一は、東北アジアで民主的価値を共有する強力な友邦の出現を意味し、統一韓国を通じて中国と日本を牽制できる事となる。

21世紀に浮上する中国に対し、牽制が重要な戦略目標であるアメリカとしては、日本を対抗勢力として育てるしかないが、アメリカは日本の真珠湾攻撃を忘れてはいない。

ただし、アメリカは共産化統一は絶対に受け入れないし、大多数の韓国人も共産化統一を望まないだろう。民主化統一の朝鮮半島は、東北アジア大陸の自由民主主義の足場になるはずだが、共産化統一になった朝鮮半島は日本と西太平洋を狙う匕首(ひしゅ・あいくち)になるはずだ。

日本は朝鮮半島統一について、積極的な支持の立場ではないようだ。統一韓国が反日的国家になる事を憂慮している。だがしかし、統一韓国は日本に新たな市場と投資先を提供する点で、日本は受恵者(受益者)になるかもしれない。

旧ソ連の没落後、韓国人はロシアに対して無関心になった傾向がある。しかしロシアは資源大国であり、未だ世界第2位の軍事技術力を持っている。中国軍はロシア製の武器で武装している。ロシアは300年間世界最強の陸軍国であり、19世紀に無敵のナポレオン軍、20世紀にナチス・ドイツ軍を撃破した国である。ロシアはこのような伝統ある尚武的精神を維持している。

中国は19世紀、ロシアに沿海州を含む南シベリア100万kuの領土を奪われた。陸・海ともに領土に対する執着が強い中国がこれを忘れるはずがない。中国の高等学校教科書地理付図では、南シベリア、朝鮮半島、ベトナム、ミャンマーが中国領土として表示されているという。一方、ロシアは人口が希薄なシベリアに中国人が群がって来ることを懸念している。中国とロシアはこのような領土問題などから、友好国になる事は難しい状況である。

統一韓国の最大の受恵者(受益者)はロシアになるかもしれない。中国と日本を警戒するロシアにとって、統一韓国は最高のパートナーになる事ができるのである。我が国はロシアと緊密な関係を形成し、沿海州と南シベリアとの経済交流を拡大して行かなければならないだろう。朝鮮半島の有事の際にロシアが統一に反対しない事が必須であり、中国も領土を接したロシアの態度を察するしかない。

中国は朝鮮半島統一に消極的である可能性が大きい。民主化統一は積極的に反対するはずで、共産化統一も快くはないだろう。共産化統一後、反中の先鋒となったベトナムの例は中国の教訓となる。

ベトナム、ドイツ、イエメンの統一は意図的な過程による結果ではなく、突然、騒々しい形で行われた。朝鮮半島の統一も、このような形で行われるものと見られる。

弁護士

ソース:国際新聞(韓国語)
http://www.kookje.co.kr/news2011/asp/newsbody.asp?code=1700&;key=20181024.22026010092