近平国家主席率いる中国が、日本に「露骨なすり寄り」を見せている。
安倍晋三首相が中国訪問(25〜27日)で、政府開発援助(ODA)の終了を通告するのを前に、日本の貢献を積極的に伝えるよう、国内メディアを指導しているのだ。
めったに日本を褒めない中国の不可解な行動のウラには、米中新冷戦などを見据えた計算がありそうだ。

「今の中国の経済レベルを考えれば、おそらく必要はない」
河野太郎外相は23日の記者会見で、こう述べた。
菅義偉官房長官も同日、対中ODAについて「すでに一定の役割を果たした」と指摘した。

1979年に始まった対中ODAでの供与額は、計3兆6000億円超に上る。
中国は2010年に国内総生産(GDP)で日本を追い抜いており、国民からすれば「まだ出していたのか」という感想だろう。

ODA終了に対し、中国政府は共産党・政府系メディアに対し、中国の経済発展に対する日本のODAの貢献を積極的に報じるよう指導していると、共同通信が報じた。
日本を高圧的に批判することの多い中国だが、感謝することはほとんどない。
今回の対応には、何らかの思惑・計算が隠されているのか。

評論家の石平氏は「現在、中国は米国と『冷戦』のような状態になった。
巨大経済圏構想の『一帯一路』はアジア諸国の反発を受け、欧州諸国からも批判されている。
習氏は今、国際的に『四面楚歌(そか)状態』で日本に助けてもらうしかない。
日米分断も仕掛けたい。日本を籠絡するため、今さらのように感謝しようとしているのだろう。
ただ、心からの感謝ではなく、政略としての感謝だ。
スワップ(通貨交換)協定再開など、さらに日本から大きなものを得たいという狙いもあるのだろう」と分析している。

https://www.zakzak.co.jp/smp/soc/news/181025/soc1810250001-s1.html