【ニューデリー時事】インドのモディ首相が2014年の就任以来、安倍晋三首相と毎年、互いの国を訪問し合うシャトル外交を続けているのは、南アジアへの浸透を図る中国を念頭に、日本との関係を強化するのが狙いだ。インドは今年に入り、中国とも関係改善を進めているが、一方で自国周辺に影響力を及ぼしている中国への警戒は緩めていない。

モディ氏は今年4月、中国・武漢で中国の習近平国家主席と会談。昨年、2カ月以上にわたり係争地ドクラム(中国名・洞朗)高地で中印両軍がにらみ合った局面からの関係改善で一致した。6月には中国主導の国際金融機関アジアインフラ投資銀行(AIIB)から融資を引き出した。
 一方、中国がインド周辺に海洋拠点を築く「真珠の首飾り」戦略に対し、インドは警戒感を隠さない。外務省高官は「中国との関係改善は地域の安定に資する。ただ、中国には(周辺国との)調和が必要だ」と指摘した。
 日印両国は、米国、オーストラリアと共に、中国の海洋進出をけん制する「自由で開かれたインド太平洋」戦略を共有するパートナー。インド外務省当局者によると、インドの隣国スリランカでは、日印が協力して液化天然ガス施設整備を進めており、今回の日印首脳会談でも同様の協調支援推進について協議する見通しだ。
 ただ、スリランカでは26日、親インドのウィクラマシンハ首相が解任され、親中国のラジャパクサ前大統領が首相に就任、政権が親中路線に進む可能性が指摘されている。中国の進出へのインドの懸念が消えない中で「5年間の蓄積」(外務省高官)がある日本との関係強化は欠かせない。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018102800351&;g=pol
(2018/10/28-15:00)

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インドのモディ首相=2日、ニューデリー(AFP時事)
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湖畔で会談するインドのモディ首相(左)と中国の習近平国家主席=湖北省武漢市、インド政府が4月28日公表(AFP時事)