◇来年3月30日まで

 ◇搭乗率80%以上目標

 国際定期便の米子―ソウル便が28日、来年3月30日までの期間限定で週6往復に増便された。訪日外国人(インバウンド)の増加で利用者数は右肩上がり。8割を韓国人客が占めており、関係者は60%台の搭乗率の80%以上への引き上げをもくろむ。(田村勇雄)

■誘客が奏功

 米子―ソウル便は2001年4月、アシアナ航空が週3往復で運航を始め、16年10月に格安航空会社・エアソウルに移管された。初年度の利用者は3万2327人(搭乗率74%)だったが、13年度は2万4384人(47・5%)にまで落ち込んでいた。

 その後、官民挙げた誘客活動が奏功し、韓国内で県のカニや温泉が浸透。韓国人客が搭乗者の半数以上を占めるようになり、14年度には増加に転じた。5往復となった17年度は4万8621人(67・8%)まで回復し、うち81・1%が韓国人だった。

 2泊3日で鳥取砂丘や温泉を楽しんだソウル市の会社員男性(41)は「これまで東京や大阪、福岡などを訪れたが、鳥取は初めて。都会と違って、温泉でゆっくりとできた」と満足そうだった。

■ツアーも登場

 増便は水曜日の1往復で、午前8時半にソウル・仁川インチョン空港を出発し、同10時半に米子空港に到着する便と、同11時半に米子を出発し、午後0時半に仁川に到着する便。県内や島根県では、増便に合わせたツアーの販売も始まった。

 読売旅行は、31日に米子を出発し、2泊3日で江原道カンウォンドやソウルを巡るツアーを企画。鳥取営業所の担当者は「週6往復だと日程が組みやすい。平日出発の新たなニーズを掘り起こせる」と期待する。

■競争激化

 エアソウルは増便で「搭乗率80%以上」を目標に掲げるが、地方空港間で訪日外国人の誘客競争は激しさを増している。大韓航空がソウル便を運航する岡山空港では昨年7月、仁川空港の出発時間を夕方から午前に変更。岡山県の担当者は「韓国人の利用が増えた」と話す。

 エアソウルも今冬、高松空港を毎日運航に増やす一方、広島空港は週3往復のままにとどめた。同社米子支店の山根保彦支店長は「本社は搭乗率をシビアに見ている。インバウンドはもちろん、日本人旅行客も増やす必要がある」とする。

 県は、岡山、広島両県北部で米子―ソウル便のPRを強化する構えで、県観光交流局の門脇誠司局長は「利便性の向上は大きなアピール材料。より広い地域から利用者の取り込みを目指したい」と話す。

https://www.yomiuri.co.jp/local/tottori/news/20181028-OYTNT50033.html
読売新聞 2018年10月29日