(朝鮮日報日本語版) 強制徴用:韓国の専門家「国際政治を考慮しない判決、同意しない」

10/31(水) 23:19配信

朝鮮日報日本語版

 韓国大法院(最高裁に相当)が30日、日本の植民地支配下における強制徴用被害者の賠償請求権を認め、原告勝訴の判決を確定させた。この判決の核心は「日本帝国主義(日帝)の不法支配による(個人の)損害賠償請求権は、1965年の韓日請求権協定によっては消滅しない」としたことだ。これに対し日本は、1965年に国交正常化の前提として締結した「請求権協定」の根幹を揺るがすものだとして反発している。

 本紙は31日、国民大日本学科の李元徳(イ・ウォンドク)教授に今回の大法院判決の意味と影響について質問した。李教授は、韓日協定を研究する専門家で、2005年に韓国政府が韓日首脳会談関連の文書を公開した際、文書の審査を担当し、156件、3万5354ページに達する会談文書を分析した。

−判決の結果は予想していたか。

 「法曹界・学会とも、差し戻し審が支持されると予想していた。現実的に大法院の小部判決(大法官4人での判決)を全員合議体(大法院長と大法官全員による合議体)で再び覆すケースはほとんどないという。また、『裁判取引』疑惑と『司法行政権乱用』に対する捜査が進行している時期に裁判が行われたため、大法院が国民感情と世論を刺激する判決を下すのは困難だろうとみていた」

−判決の意味は。

 「植民支配の不法性と法的責任を認めた世界で初めての事例だ。過去には、英国とオランダが植民地で働いた反人道的な虐殺行為について、ケニアとインドネシアに賠償金を支払う判決が下ったことがあったが、それ以外で植民支配自体の不法性とそれに伴う法的責任を認めたケースはない」

−ドイツがポーランドとチェコの強制動員被害者に賠償した事例がある。

 「ドイツの場合は政府が先んじて『記憶・責任・未来』財団を設立し、いわゆる戦犯企業と官民合同で基金を造成し、被害者に賠償金に準じる補償金を支給した。法的賠償ではなかった」

−大法院の判断に同意するか。

 「同意しない。当初、韓日会談には賠償要求が含まれていた。ただし、日本と連合軍側の48か国が締結したサンフランシスコ講和条約には、韓国が条約当事国として含まれず、賠償を請求することができなかった。講和条約によって規定された後続措置によって、請求権・財産権交渉が行われ、韓国は日本に賠償・補償・請求権の入り乱れた要求を出した。ここで、韓国が直面した現実を総体的に見なければならない。経済的に国民所得100ドルにもならない最貧国であった上、南北関係でも劣勢だった。韓国の立場としては、対日外交を突破口として経済と安全保障問題を解決するために、外交的選択をしたわけだ。協定が対日過去清算という問題を完璧に解決することが出来なかったということは、誰もが知っている。そうするしかない状況だった。判決を下した大法官(最高裁判事)らが当時の交渉に当たったとしても、それ以上の結果を導くことはできなかったはずだ」

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