河野太郎外相は1日、新日鉄住金に韓国人の元徴用工への賠償を命じる韓国の判決確定を巡り、韓国側が「(日韓で)お互いに知恵を出そう」と呼びかけたことを念頭に「100%、韓国側の責任において考えることだ。そのつもりで交渉にあたる」と強調した。また「韓国側がこの問題を重視していないと見受けられる」と、早期に対応しない韓国政府に不快感も示した。河野氏と会談した自民党の松下新平外交部会長が明かした。

韓国では70社以上の日本企業が同様の訴訟を起こされており、今後、賠償命令が相次ぐ恐れがある。外務省や経済産業省などは訴訟対応を支援するため、日本政府の立場や日韓請求権協定の解釈などに関する企業向けの説明会を始めた。

 自民党の外交部会などの合同会議は1日、協定に基づく協議や仲裁手続き開始を韓国側に申し入れるよう、日本政府に求めることを決議。松下氏が河野氏に決議書を提出した。

 決議は、国際司法裁判所(ICJ)への付託の検討や、国際社会への働きかけも政府に求めた。河野氏は韓国政府の対応を注視するとしつつも「いつまでも待つわけにはいかない。当然、次の段階の準備をしている」と応じた。また在外公館に対し、「賠償問題は請求権協定で解決済み」とする日本の主張の正当性を、現地メディアなどを通じて発信するよう指示したという。

【秋山信一】

https://mainichi.jp/articles/20181102/k00/00m/010/068000c
毎日新聞 2018年11月1日 19時32分