ローマ法王の北朝鮮訪問

 今年3回目の南北首脳会談で、文大統領は正恩委員長の「年内ソウル訪問」を取り付けている。韓国内では、脱北者団体を中心に北朝鮮への経済協力には抵抗感が根強く、人権弾圧を糾弾する動きが顕著だ。

 そんな中、青瓦台が明らかにしたところによると、文大統領は10月18日、バチカンでローマ法王フランシスコを表敬訪問した際、正恩委員長からの訪朝招請の旨を伝達したという。

「カトリック教徒でもある文大統領から請われ、正恩委員長がその気になったというのが経緯です。故・金正日総書記は2000年に当時の法王ヨハネ・パウロ2世を平壌に招待しましたが実現しませんでした。実は北朝鮮の首都・平壌は昔、“東洋のエルサレム”と呼ばれるほどキリスト教が盛んに宣教された時代があったのです。ところが、金日成主席が金王朝を樹立して以来、宗教の自由は剥奪され、キリスト者は迫害され続けました。国際キリスト教宣教団体『オープン・ドアーズ』が毎年公表する『宗教の自由度リスト』では、北朝鮮は世界最悪の宗教弾圧国にリストアップされています。北には信仰を持っているかを摘発する特別警察官が存在しており、クリスマスやイースターの祝日に小グループで礼拝していると、特別警察が入ってきて家族ごと逮捕し、労働収容所に送ります。北朝鮮全土には約40万人のキリスト信者が地下活動を強いられていますが、『オープン・ドアーズ』によれば、北には5万人から7万人のキリスト信者が、同国内の30以上の強制労働収容所に収容され虐待されているのです」(前出・北朝鮮ウオッチャー)

 北朝鮮には「言論の自由」はなく「信教の自由」もない。この問題を解決しない限り、南北の融和政策は進まない。そこで、金&文コンビは、少なくとも国際社会に南北両国の融和というメッセージだけは発信できると計算しているのだろう。

「バチカン法王庁は文大統領からの南北仲介要請を受け、仲介役に南米エルサルバドル出身のグレゴリオ・ローサ・チャベス枢機卿をすでに任命しています。バチカンとしても、南北再統一に関与することで、聖職者の未成年者への性的虐待で失墜した権威の回復ができ、多少であれ批判の目をそらせるとの計算が働いているのでしょう。ですから実現の可能性はあります」(前出・国際ジャーナリスト)

 トランプ政権にとっては、北の非核化は“とりあえずやってる感”が重要だ。たとえ非核化の動きが緩慢でも、トランプ大統領は「大きな前進だ」と常に自画自賛する。一方、正恩委員長にとっては“やってる感”では意味がない。『終戦宣言』を勝ち取り、国内に向けてアピールする必要がある。法王の平壌訪問が実現すれば大きな援護射撃になり、トランプ大統領を突き動かすことになる。

「米韓の政権には任期がありますが、金正恩政権は今後、何十年も継続します。トランプ退陣後に北朝鮮とのディールに本腰を入れる米政権が出てくるかは不透明です。ならば強制収容所の撤廃など人権問題にほとんど口を出さないトランプ大統領の任期中に、正恩委員長はバチカンの仲介による'14年末の米国‐キューバ間の外交関係回復のように、非核化と終戦宣言および国交正常化との交換取引を決着させたいのでしょう」(前出・北朝鮮ウオッチャー)

 米朝2回目の会談に“けん制球”の意味を込めるためか、ロシアのプーチン大統領と正恩委員長との会談の日程が具体的に協議されていると報じられた。正恩委員長はこのように、表向き笑顔で対話攻勢に出てきている。しかし、国内の引き締めはむしろ強化され、体制や思想を放棄する気など全くうかがえない。

 それでも“伝書鳩”文大統領は、今日もせっせとフェイクニュースを世界中に運び続けている…。

https://wjn.jp/sp/article/detail/3491579/
週刊実話 2018年11月02日 20時00分
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