「『良心的訓練拒否』だと言い張ったら除隊措置になるのではないか?」

 宗教的兵役拒否に対して大法院(最高裁に相当)が無罪判決を出して以降、韓国軍の第一線幹部の間では、こんな懸念が持ち上がっているという。陸軍のある中隊長は「最近そういう心配をする幹部は一人や二人ではない。この先、入営対象者も減り、訓練を一生懸命受ける兵士が相対的価値剥奪を感じそうで心配」と語った。

 こうした状況は、まだ現実にはなっていない。だが金昭英(キム・ソヨン)、チョ・ヒデ、朴商玉(パク・サンオク)、李起宅(イ・ギテク)大法官が「宗教的兵役拒否は有罪」だとして少数意見を出す際に示した懸念と、かなりの部分が一致している。これらの大法官は「これまで刑事処罰が怖くて兵役忌避をしていなかった人々が良心を理由に入営を拒否するという状況を招くだろう」と懸念した。多数意見は「宗教的兵役拒否者は毎年600人にすぎず、国防に及ぼす影響は小さい」としたが、これまでは処罰が怖くてその数字が小さかっただけ、という見方だ。実際にドイツの場合、宗教的兵役拒否者の数は数百人のレベルだったが、1967年に代替服務制度が導入された後、2010年の時点で代替服務を選択する者はおよそ13万人に達するといわれている。

 少数意見を出した大法官らは「真正な良心」を判断するのは事実上不可能という点も懸念した。大法院の多数意見は、宗教的兵役拒否を「良心的兵役拒否」と表現した。これもまた韓国憲法が保障する良心の自由の一部であって、このときの良心とは正邪の判断を追及する精神だという。よって、倫理的・道徳的・哲学的動機から兵役を拒否する行為も良心的兵役拒否だとした。

 少数意見は、この場合、判断が事実上困難だとした。例えば2006年、宗教的兵役拒否者の一部が国連自由権規約委員会に「良心的兵役拒否を認めてほしい」と陳情したが、このうちの一人は入営通知の8日前に洗礼を受けて「エホバの証人」の信徒になった。大法院は「真正な良心」について「兵役拒否をしなければ人格的存在が破滅してしまうという切迫した具体的な良心」とした。これに該当するかどうかは、特定の宗教の場合、これを信仰する動機や経緯、信仰している期間などを総合して判断しなければならないとした。しかし、ある部長判事は「大法院の判断基準はあいまいで、今後論争は避けられないだろう」と語った。

ヤン・ウンギョン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/11/06/2018110600799.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2018/11/06 10:01