トランプ米政権が原油取引などを対象にした対イラン制裁を再発動したことに対し、各国も反応した。

菅義偉官房長官は5日の記者会見で制裁の影響について「従来以上に注意深く分析し、情勢を注視していく」と述べるにとどめた。日本は一時的に制裁の対象から除外される見通しとなり、政府内では「ひとまずほっとした」(外務省幹部)と安堵(あんど)感が広がる。ただ、除外措置は180日限定で予断を許さない状況だ。

 中国外務省の華春瑩副報道局長は5日の定例会見で「遺憾」の意を表明。「中国はイランの努力を高く評価しており、包括合意へのたゆまぬ努力を続けると同時に、我々の合法的な権益を守る」と述べ、「中国とイランの正常な協力は国際法のもとで尊重され、維持されるべきだ」として、イランからの原油輸入を続ける意向を示した。

欧州連合(EU)と英独仏の外相と財務相は制裁発動に先立つ2日、「大変遺憾」とする共同声明を出した。声明は、米国が抜け出たイラン核合意は「核不拡散のための世界的な枠組みだ」とし、イランが核合意を順守し続けるよう、イランと欧州企業間の原油や金融取引が続けられる方策を模索するとしている。

 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は5日、「歴史的な日だ。イランの体制に大打撃を与えられる。トランプ大統領の勇気ある決断に感謝する」と称賛した。リーベルマン国防相も「中東が待ち望んでいた大転換だ。一つの動きで、シリア、レバノン、ガザ、イラク、イエメンのイランの陣営(イランが影響力を持つ勢力)に決定的な打撃を与える」と歓迎した。(清宮涼、北京=冨名腰隆、パリ=疋田多揚、エルサレム=渡辺丘)

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朝日新聞デジタル 2018年11月6日17時22分