韓国の最高裁判所(大法院)が日本の民間企業に対し、戦争中の元徴用工への賠償を命じました。

この判決を受けて、日本政府は「判決は極めて遺憾。韓国政府に適切な措置を取ることを求める」旨表明しました。

確かに、日韓請求権協定において、「完全かつ最終的に解決された」問題であり、判決は日本として受け入れることができないものです。この点で、私も日本政府と同じ考えです。

しかし、その後、安倍総理は「あり得ない判断だ」、河野外務大臣は「判決は暴挙」「国際秩序に対する挑戦だ」などと発言しています。これは、外交の最高責任者2人の発言としては行き過ぎです。

そもそも、三権分立の中で、司法の最終判断を政府が批判することすら一定の節度が求められるなか、外国の司法判断に対する行政府の長の発言としては適切とは思えません。それは、日本の最高裁の判決に対して、外国政府首脳が「あり得ない」とか「暴挙だ」と発言した場合のことを考えれば明らかです。司法判断に対する行政の介入、しかも外国政府の介入はあってはならないことです。

日本政府がなすべきことは、日韓請求権協定の枠組みを前提として、元徴用工の皆さんに対して韓国政府がきちんと対応するよう、冷静に求めていくことです。米国との貿易問題や北朝鮮との非核化交渉など、日韓関係の重要さが増しているなか、冷静な対応が求められます。

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BLOGOS 2018年11月09日 16:48

岡田克也 元副総理、元外務大臣