海上自衛隊のP1哨戒機が韓国海軍艦艇から射撃用の火器管制レーダーを受けたとされる問題で、韓国国防省は4日、長さ4分26秒の映像を公開した。韓国はレーダー照射を否定しており、国防省はこの日の会見で、「正確な事実関係を知らせる」と公開の狙いを説明。同省は韓国語の説明を付けた映像に続き、同夜、英語版も公開した。各国語版も製作するという。

 映像には韓国海洋警察庁や海自が撮影した場面のほか、同庁の警備救難艦の乗員が現場で同僚に呼びかけたとみられる無線通信、問題を受けた後の国防省報道官の発言が含まれている。一方で、P1哨戒機の低空飛行を受けたと主張してきた韓国海軍艦艇による撮影内容は入っていない。

 国防省の報道官は4日の会見で、「日本が一方的に日本語と英語の映像を公開し、歪曲(わいきょく)された事実を全世界に伝えた」と批判。「日本はこれ以上、事実を歪曲する行動を中止し、脅威を与えた低空飛行について謝罪すべきだ」と語ったが、海軍艦艇の映像を公開しなかった理由については明らかにしなかった。また、日本側が主張するP1哨戒機の呼びかけについては、「明確に聞こえなかった」とした。

 この問題では、レーダー照射や、P1哨戒機の低空飛行の有無について、日韓で言い分が食い違っている。韓国軍合同参謀本部は昨年12月24日、P1哨戒機が艦艇の真上を通過する「特異な行動」をとったため、レーダーではなく、「光学カメラ」を向けたと説明。一方の日本側は艦艇から一定の高度と距離を保っていたにもかかわらず、レーダー照射を受けたと主張している。

 日韓の防衛当局は昨年末に協議したが、次回の話し合いの見通しは立っていない。防衛省幹部は4日、公開された映像について「反証になっていない。ここに至っては徹底的に反論していくしかない」と述べた。(牧野愛博=ソウル、藤原慎一)

https://www.asahi.com/articles/ASM14563ZM14UHBI01W.html
朝日新聞デジタル 2019年1月4日22時00分