韓国海軍駆逐艦による火器管制レーダー照射問題は解決の糸口が見えない。「交戦の一歩手前」といえる状況が発生したにもかかわらず、無理筋の主張を続ける韓国を見ていると、“同盟国”のはずの日本と本気で事を構える気でもあるのか──という疑念さえ浮かんでくる。実際のところ、そんな事態になって困るのは韓国軍のはずなのだが……。

韓国軍・政府の動きは、理解不能だ。海上自衛隊の哨戒機に“ロックオン”し、言い分を二転三転させた挙げ句、具体的な証拠を示さずに「悪いのは日本」という主張を繰り返している。背景に、韓国軍の“変質”があるとみるのは軍事ジャーナリストの井上和彦氏だ。

「徴兵制を敷く韓国では、国民の意識の変化が軍に大きく影響する。文在寅政権の誕生や昨年の平昌五輪などで南北融和ムードが広がって、『北朝鮮は敵国』という意識が薄れてしまった。これに影響されて軍の緊張感が薄れる一方、文在寅政権下の韓国はもはや日本を唯一の敵とみなしている感がある」

近年、“韓国軍の反日アピール”は、激しくなる一方だ。軍艦の名称にしても、イージス艦「世宗大王」(2007年進水)は15世紀に対馬を侵略した王の名前。伊藤博文を暗殺した「安重根」の名を冠した潜水艦(2008年進水)もある。昨年は韓国海軍主催の国際観艦式で、海自艦艇に自衛艦旗(旭日旗)の掲揚自粛を求めてきた。

単純に「量」だけを比較すれば、韓国軍は日本の自衛隊を圧倒する。人口が日本の半分以下でありながら、韓国軍の総兵力は63万人。23万人の自衛隊をはるかに上回り、予備役に至っては310万人を数える(自衛隊では3万人)。また、日本の防衛費はGDPのおよそ1%だが、韓国はそれを大きく上回り、2%超となっている。

では、韓国軍の実力が自衛隊を凌駕しているかといえば、そうではない。前出・井上氏がいう。

「戦闘機をはじめとした作戦機体数でも韓国軍は自衛隊を上回る。その性能を見ても、たとえば韓国の主力戦闘機F15Kは、航空自衛隊のF15Jと比べて“上”と言えるでしょう。ただ、練度や運用に疑問符がつきます。過去には地上走行中のF15Kの車輪がマンホールにはまって傾き、機体を損傷したこともあります」

米軍や日本の自衛隊が志願制なのに対し、「韓国軍は徴兵制で兵士の士気にバラつきもあり、最新鋭の武器を揃えていても部隊運用に問題が出てくる可能性がある」(同前)わけだ。

2016年2月に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際は、日米韓のイージス艦がそれぞれ弾道を追ったが、韓国の「世宗大王」だけがミサイルを見失い、日米に問い合わせる事態となった。

「日本も韓国も、イージス艦には米国直輸入の最新鋭レーダーシステム『SPY-1』を搭載していたが、韓国軍だけ追尾する能力が足りなかった」(同前)

2013年には、これまた日本への嫌がらせのような名前の強襲揚陸艦「独島(不法占拠中の島根県・竹島の韓国名)」が、“平時の海”で航行不能となり、漂流した。原因は艦内の火災。搭載した2つの発電機のうち1つから出火し、消火中に海水が流れ込んできてもう1つの発電機も停止したという。

「2010年の延坪島砲撃事件では、北朝鮮の撃った砲弾がターゲットである韓国軍のK9自走砲に命中した一方、韓国側の反撃弾のほとんどが北朝鮮陣地後方の畑に落ちた。しかも韓国軍が配していた自走砲6門のうち実際に動いたのは3門だけ。整備、運用の不備を露呈してしまった。これは、高い稼働率を誇る日本の自衛隊ではとても考えられないレベルです」(井上氏)

※以下、黒田勝弘氏の解説

2019.01.11 11:00
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