防衛省は、今春に計画していた海上自衛隊の護衛艦「いずも」の韓国への派遣を取りやめる方向で検討に入った。韓国海軍駆逐艦による海自P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題を受け、韓国との防衛協力を当面縮小し、冷却期間を置く必要があると判断した。複数の政府関係者が25日、明らかにした。

防衛省は、韓国で開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大国防相会議(ADMMプラス)に合わせ、韓国・釜山港にいずもなど護衛艦数隻を派遣することを計画していた。

しかし、昨年12月に韓国海軍駆逐艦によるレーダー照射問題が発生。日本側は再発防止を求めたが韓国側は事実を認めず、逆に海自哨戒機が「低空脅威飛行」をしたとの主張を繰り返した。

日本側は今月21日にレーダー照射問題の「最終見解」を示し、韓国との協議を打ち切ったが、韓国側はその後も海自哨戒機の「威嚇飛行」を主張するなど事実に反する発信を重ねている。

政府関係者は「韓国との防衛協力は重要だが、日韓双方の世論も過熱している。冷却期間を置くのはやむを得ない」と語る。海自護衛艦は釜山への入港は見送るものの、各国海軍と洋上で行う共同訓練への参加は検討を続ける。

韓国との防衛協力をめぐっては、自民党内から「当面は中止すべきだ」との意見が上がっていた。岩屋毅防衛相は日韓防衛協力の意義を強調する一方、「タイミングや中身にもよる。適切に判断したい」と縮小の可能性を示唆していた。


2019.1.26 05:00
https://www.sankei.com/politics/news/190126/plt1901260003-n1.html