【ソウル=名村隆寛】中国軍機が23日に韓国の防空識別圏に進入し、鬱陵島(ウルルンド)と竹島(島根県隠岐の島町)の間の上空を飛行したことを批判する韓国で、日米との歩調の乱れが「中国の挑発」を許した−との危機感が出ている。

 中国軍機による韓国防空識別圏への進入は昨年だけで140件余り。韓国が神経をとがらせるのは、両島間での飛行が初めてだったためだ。竹島を「独島(トクト)」と呼び不法占拠する韓国だが、中国側の新たな動きに当惑している。

25日付の韓国紙、朝鮮日報は海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題に加え、韓国釜山(プサン)沖で4〜5月に行われる海上共同訓練への海自の参加をめぐり日韓で見解の食い違いが出ていることなど、日本との確執を問題視。また、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が米朝首脳会談に先立つ訪韓を直前に中止し、釜山で予定されていた日米韓高官級協議が取りやめとなった直後に中国機進入があったと指摘した。

 文化日報は社説で「韓米日の安保協力が確固なら、中国はこんな粗暴には出てこられない」と強調。「米韓合同演習が中止・縮小され、韓日関係は友好国ではなく『敵国』の水準だ」と懸念を示した。

 さらに、ボルトン氏の訪韓中止は「文在寅(ムン・ジェイン)政権への不快感」が理由だとの見方もあるとし、「確固たる同盟なき生存はないというのが、韓国の地政学的な宿命であることは、身に染みた歴史の教訓だ」と日本などとの関係悪化に警鐘を鳴らした。

https://www.sankei.com/politics/news/190225/plt1902250024-n1.html
産経新聞 2019.2.25 20:10