【ハノイ時事】ベトナム・ハノイで27、28両日に行われる米朝首脳会談に臨む北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は特別列車に乗り、陸路で中国大陸を縦断し、南下しているもようだ。ただ、ハノイ入りする経路など詳しい情報は明らかにされておらず、「隠密行動」を徹底。北朝鮮当局が、外遊する最高指導者の安全を最優先し、細心の注意を払っていることがうかがえる。
 正恩氏は23日に平壌を出発し、中国の国境都市遼寧省丹東から中国入りした。韓国の聯合ニュースによると、特別列車は天津や内陸部の武漢などを経由し、ベトナムに向けて南下。正恩氏の出発を24日に伝えた北朝鮮メディアは訪越ルートには触れていないが、陸路で中越国境を越え、26日にハノイ入りするとの見方が有力だ。
 訪越に当たっては、当初、正恩氏がハノイまで十分な航続距離がある専用機を用いると予想されていたが、北朝鮮当局は2日半かかる列車移動を選択。韓国の北朝鮮専門家は「老朽化した専用機は安全に不安がある上、多くの随行員の移動には不便なためではないか」との見方を示した。
 昨年6月の初の米朝首脳会談の際には、正恩氏は中国政府の特別機を借りて、シンガポール入りした。搭乗機は友好国の中国の上空をぎりぎりまで飛行したほか、正恩氏の専用機を同時に飛ばし「煙幕」を張るなど安全に神経をとがらせた。
 今回も北朝鮮側が安全を考慮し、訪越ルートを急きょ変える可能性がある。ベトナム当局は正恩氏が途中で航空機に乗り換えて、空路でハノイ入りする場合も想定し、受け入れ準備を進めているもようだ。正恩氏のハノイでの宿泊先もいまだ明確になっておらず、ベトナム当局も最高指導者の動静を直前まで明らかにしない北朝鮮側の対応に戸惑っているとみられる。(2019/02/25-20:28)

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