【ソウル=恩地洋介】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、日本統治下の1919年に起きた最大の抗日独立運動「三・一運動」から100年を記念する政府式典で演説した。国内の政治対立の文脈で「親日残滓(ざんし)の清算」を進めると強調。ハノイで開かれた米朝首脳会談に絡み、米国と金剛山観光事業と開城(ケソン)工業団地の再開案を協議する意向も表明した。

韓国で「親日」とは、日本の植民地統治に協力した人物を指す。日本統治下で日本の軍隊や警察に関わった人物の流れをくむ保守系勢力に対する批判を念頭に「親日は反省すべきことであり、独立運動は礼遇されるべきだという価値を築く」と述べた。

足元の日韓関係に関しては「朝鮮半島の平和のため、日本との協力を強化する」と語った。「歴史を教訓に韓国と日本が力を合わせて被害者の苦痛を実質的に癒やすとき、韓国と日本は本当の友人になる」とも指摘した。日韓の対立状況を生み出した原因ともいえる元徴用工訴訟への対応策や、日本が要請した政府間協議には言及しなかった。

ハノイで開かれた米朝首脳会談にも触れ「意味のある進展で、私たちの役割がさらに重要になった」と述べた。「新たな朝鮮半島体制」と銘打った構想を唱え「金剛山観光と開城工業団地の再開案も米国と協議する」と主張。「南北関係の発展が米朝関係の正常化と日朝国交正常化につながる」との見方を示した。

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日本経済新聞 2019/3/1 12:00

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1日、ソウルで開かれた「三・一独立運動」100年の政府式典に参加する文在寅大統領(中央)=共同