韓国の文正仁(ムンジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官はソウル市内での講演で、2回目の米朝首脳会談を受け、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長のソウル訪問が「難しくなった」との認識を示した。

韓国側は9月の南北首脳会談の合意に基づき、正恩氏のソウル訪問は昨年内にも実現するとしていたが、めどが立たなくなっていると認めた。

講演は12日。大統領府関係者は会談前、米朝が非核化措置で合意すれば、訪問が早期に実現するとの期待感を示していた。

文氏は、ソウル訪問に向けた環境を整備するには、正恩氏が訪問の成果として自国に示せるものを韓国側が用意する必要があると指摘。南北経済協力事業の金剛山観光や開城工業団地の再開が必要だと言及した。再開できれば「平壌にお土産を持って帰れるという意味になる」と述べた。

文氏は同じ講演で、文在寅(ムンジェイン)大統領が昨年の欧州歴訪で各首脳に制裁緩和を提案し、冷ややかな対応を受けた背景には「日本の外交的な妨害があったことは明らかな事実だ」と述べた。

韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決に関しても「(日本では)韓国の大統領府が司法府に影響を及ぼし、判決が出たという陰謀論が広がっている」「日本は成熟した民主主義であるにもかかわらず、かなり国家主義が強い」と批判した。


(ソウル=武田肇)2019年3月14日15時10分
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