→「やましさを感じること全くない」−林鄭月娥行政長官

→HSBCなどの銀行数行、金鐘地区での支店営業を停止

香港で中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例改正案に反対する抗議活動が12日も続き、一部参加者は香港中心部の主要道路を封鎖した。群衆は香港政府庁舎に押しかけ、立法会(議会)への侵入を阻止しようとする警官隊が催涙ガスやゴム弾を使用、負傷者が出た。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は秩序を取り戻すよう促した。

  これを受けて立法会は条例改正案の審議を延期した。立法会は改正案の採決前に66時間の審議を予定しているが、いつ再招集されるかは今のところ不透明だ。

  香港警務処の盧偉聡処長は状況鎮静化に自信があるとし、催涙ガスやゴム弾の使用は「暴動の様相」を抑えるのに正当化されると説明。市民には中心部の金鐘(アドミラルティ)地区に近づかないよう呼び掛けた。

  香港医院管理局によると、これまでに72人の負傷が確認され、病院で治療を受けている。街頭デモは9日に主催者発表で参加者数が100万人を突破し、1997年の中国への返還後で最大級の規模に達していた。

林鄭行政長官は「社会が早急に秩序を回復し、暴動による負傷者がこれ以上出ないよう望む」とビデオメッセージで表明した。

  香港当局は同条例改正案の廃案というデモ隊の要求に屈するつもりはないとしている。同長官は香港テレビ局TVBとのインタビューで、「この問題を理由にやましさを感じることは全くない」と発言。香港が逃亡犯の隠れ家となるのを防ぐために改正案は必要だとし、香港を裏切ることは決してないと声を震わせて訴えた。

  ただ、この事態に旧宗主国の英国は「深く憂慮」しているとハント外相が表明。同外相はテレビインタビューで、林鄭行政長官と香港政府に条例案の停止を呼び掛けた。

HSBCホールディングスやスタンダードチャータードなど銀行数行は12日、金鐘地区での支店営業を停止した。

  HSBCは電子メールで、香港時間正午(日本時間午後1時)から金鐘の2カ所であらためて通知するまで営業を停止すると発表。路上活動を理由に挙げた。スタンダードチャータードは交通が混乱しているとして、金鐘での支店営業を取りやめていると電子メールで明らかにした。

  東亜銀行はウェブサイトで、ハーバービューセンター(港湾中心)支店と金鐘支店を新たに通知するまで閉鎖すると通知した。中信銀行(CITIC銀行)は金鐘にある中信大廈(CITICタワー)支店のサービスを停止していると電子メールで説明した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-12/PSZ9676K50XU01
ブルームバーグ 2019年6月12日 18:09 JST 更新日時 2019年6月13日 3:00 JST

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抗議活動参加者に向け催涙ガスが使われた(12日)

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香港での抗議活動