■文政権の外交特色は“何もしない”
 
文在寅大統領の外交の特色は何かといえば、「北朝鮮は非核化する、制裁を解除すべきである」というだけで、国益のために何も動かないことである。

日本との関係では、徴用工の問題で解決策を示さず、慰安婦の問題では過去の合意を反故にする、レーダー照射の問題では自らの誤りを認めず、証拠を改ざんしていい加減な言い訳に終始するだけだ。

その結果は、韓国のマスコミも懸念するように、6月28、29日に大阪で開催されるG20の会合で、ホスト国の首脳である安倍総理と会談できない唯一の首脳となることではないか。

米中の首脳とは何とか会談はするようだが、それも文大統領から頼み込んでやっと実現するもので、そこでは米中の対立案件であるファーウェイへの対応を巡って、板挟みになる見込みだ。

しかし、政府としてこれまで何ら指針を示さず、企業の判断に任せるとの姿勢をとっている。どの国も一応の対応の指針を示しているが、何もしないのは韓国だけであり、米中の貿易戦争、覇権争いの中で、中立ではいられない現実を理解していない。

G20の各国首脳が集まる中で、北朝鮮の非核化をいかに実現するか、国際的な協調体制を強化するよい機会だ。しかし、ベトナムで米朝首脳会談が物別れに終わった後も、北朝鮮に対する見方を変えていない唯一の首脳である文在寅大統領は、各国首脳から相手にしてもらえないのではないか。

文在寅大統領は昨年アルゼンチン、ブエノスアイレスで開催されたG20でも一人でいることが目立っていたが、今回は孤立している現状を一層際立たせるG20となりそうだ。

■文大統領と会談しても成果は得られないだろう
 
文大統領は就任2年の節目で行われたKBSとのインタビューで、「安倍総理との会談ができるならいいことだろう」と述べた。本心で安倍総理と会いたいと考えていたかは知りようがないが、少なくとも日韓関係を史上最悪といわれるほど悪化させたまま放置していることに対する、国内の批判は意識していたであろう。

ただ、日本の政府関係者からの、「首脳会談実現のためには徴用工問題で韓国政府の誠意ある対応が必要」との指摘に対しては無視したままだ。文政権は言葉では調子のいいことを言うが、行動が伴わないことが度々ある。これもそのケースだろう。

日韓関係が最悪といわれる今の状況は、首脳会談を行い、関係改善に努めることが望ましいのは当然だ。しかし、G20という会談の好機であっても、日韓首脳会談は実現しないだろう。

6月5日には日韓の局長会談があった。日韓間には多くの問題が横たわっている。両国が本気で首脳会談をやろうとするならば、そこで首脳会談を前提として相当突っ込んだ議論がなされて当然だが、その様子は全く見られない。これでは双方とも首脳会談に向けて本格的に取り組んでいるとはいえない。

2019.6.14
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