韓国の名門大学、延世大学(ソウル市)の柳錫春・社会学科教授(64)が、
大学の講義で「慰安婦を売春婦と同一視し、元慰安婦の名誉を毀損した」として、猛烈な非難にさらされている。

柳氏はこの問題で、ソウル・日本大使館前に「慰安婦像」を設置したことでも知られる韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)を前身とする
「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)から名誉毀損で告訴されて、ついに法廷に立つことになりそうだ。

柳氏は9月19日の講義で、慰安婦について「(売春婦と)似たようなものだ」と発言。
さらに、韓国メディアによれば、慰安婦について、次のような“問題発言”をしたという。

「売春の理由は貧しさのためだ。昔もそうだった」

「日本が強制連行したという記録はなかった」

「(慰安婦問題の)直接的な加害者は日本ではない」

「日本がとんでもない国として扱われるのは韓国だけだ。日本は世界的な大国だ」

これらの発言に、講義を受けていた学生らは反論。

「日本がいい仕事をあげる、教育を受けられるとだまして、ハルモニ(元慰安婦の女性)たちを連れて行ったのではないか」
「慰安婦の被害者が自発的に行ったということか」と教授を問いただした。

柳氏はこれら学生の質問に「今も売春に足を踏み入れる過程はそんなものだ。知りたいなら、一度やってみますか」と答えたという。
この講義での柳氏の発言の一部は、何者かによって録音されており、ネット上で拡散された。

韓国メディアの報道が本格化したのは、発言から4日が経った9月23日ごろからだった。まず、延世大学の学生自治会や同窓会などが柳氏の発言に猛反発して、
「人類史上、最も醜悪な国家暴力の被害者(元慰安婦)を『自発的売春』などと罵倒し、あざ笑った」として、大学に柳氏の罷免を要求。
さらに、市民団体「庶民民生対策委員会」が、名誉毀損や虚偽事実流布、セクハラの疑いで柳氏を告発した。

韓国では慰安婦の存在は絶対的で、神聖視されもしている。慰安婦やいわゆる徴用工などの強制性を否定し、
韓国でこの夏、ベストセラーとなった『反日種族主義』の共同著者である李宇衍・落星台経済研究所研究委員は、
フェイスブックへの投稿文で、柳氏の発言は「現在の状況を念頭に置き展開されたあり得る推論だ」と指摘。「慰安婦は生き神様なのか」と疑問を呈した。

すでに左派から批判の標的にされ、物理的な攻撃も受けていた李氏。今回、柳氏を擁護したことで、「暴言を吐いた」と再度批判に晒されている。
李氏は以前から、慰安婦問題をめぐって正義連に公開討論を求めているが、正義連はその要求を無視している。

柳氏や李氏のような発言をすれば、韓国では必ず正義連などの市民団体を中心とした“社会的制裁”を受ける。
慰安婦問題についての学術書『帝国の慰安婦』の著者である朴裕河・世宗大学教授が代表例だ。
朴氏は元慰安婦の名誉を毀損したとして、民事裁判で敗訴が確定し、刑事裁判は1審無罪、2審は逆転有罪となっている。

韓国では、慰安婦問題をめぐり元慰安婦はともかく、支援団体の意に沿わない主張をした学者ら専門家は、間違いなく吊し上げられる。
学生らから非難を受けた末に、大学を追われた学者もいる。被告人とされた朴氏の裁判は本人が法廷で訴えていたように「魔女狩り」も同然だった。

状況は違っても、主義、主張がどうであれ、韓国では慰安婦問題への「異論」は許されず、即刻、敵視され、非難の的となる。

社会的に抹殺されることを覚悟の上で、柳氏は研究者として、それでも主張を翻さない構えのようだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191008-00014579-bunshun-int