愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、いったん中止になっていた企画展「表現の不自由展・その後」が8日、再公開された。最大の焦点は、昭和天皇の写真をバーナーで焼き、灰を足で踏み付けるような映像作品などを、税金を投入して公共施設で公開すべきかどうかだ。芸術祭での再公開に大反対する名古屋市の河村たかし市長が、夕刊フジの単独インタビューに応じた。

 「『表現の自由』以前の問題で、(日本や皇室に対する)ハラスメントだ。芸術祭の実行委員会会長を務める愛知県の大村秀章知事は『表現の自由に名を借りた暴力』で世論をハイジャックした。日本社会にとって、実に危険なことだ」

 河村氏はこう切り出した。企画展には、昭和天皇に関する映像作品や、慰安婦とされる少女像、英霊を冒涜(ぼうとく)するように感じる作品などがある。河村氏自身も実行委員会の会長代行だが、大村氏から事前に再公開の連絡はなかったという。

 「大村氏は最近、『専決』ばかりだ。実行委員会で再開に関する協議はなかった。つまり、再開決定は無効だ。(国民や県民、市民を)ナメている」

 憲法には「表現の自由」(第21条)だけでなく、「公共の福祉」に反する権利濫用を禁じた第12条もある。河村氏は続けた。

 「芸術祭は、愛知県や名古屋市が主催する公共事業だ。そこで、昭和天皇の写真を燃やして、灰を踏み付けるなどの『暴力』行為が行われた。再公開は、名古屋市民や、愛知県民がこれを認めたことになる。民間の画廊で自費でやるのとは違う」

 「文化庁に補助金を申請する際、(県側は)前出の映像作品などの詳細について説明をせず、偽りがあった。左派メディアも昭和天皇の作品を隠すように伝えて、再公開を守ろうとしている。おかしい」

確かに、テレビ局の中には、昭和天皇に関する作品にまったく触れないか、「昭和天皇の写真をコラージュした作品」などと、まったく内容が伝わらない報道をする局もある。

 企画展は14日まで再公開される。河村氏はこの日、展示会場前で座り込みの抗議活動を行った。今後はどうするのか。

 河村氏は「座り込み抗議は今日一日では終わらない。またやった方がいいでしょう。実際には、『税金を使った再公開はよくない』という人は多い。ここは、みなさんの力で、税金支出のあり方について、大村氏に対して『おかしい』と主張すべきだ」と語った。

 一部では、河村氏を先頭にして、大村氏の知事リコール(解職請求)を求める声もある。

 河村氏は「それは何とも言えない」と語った。

 国会では今後、文化庁が「交付申請の不備」を理由に芸術祭への補助金の不交付を決定したことに野党側が反発し、政府を本格追及する構えだ。

 河村氏は「ぜひ、予算委員会に私を呼んでほしい。今まであった本当のことをすべて話す。喜んで出席する」と語った。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/191010/dom1910100002-n1.html
2019.10.10