今年の大学修学能力試験(日本の大学入試センター試験に相当)まで1カ月となったが、試験監督を務める教師たちから「座ったまま遠くを見渡せる高い椅子」を求める声が上がっている。韓国教員団体総連合会(教総)、全国教職員労働組合(全教組)、実践教育教師の集まり、新しい学校ネットワーク、教師労組連盟、良い教師運動の左翼系の六つの教員団体は今月初め、全国の教師2万9416人から署名を集め「修能の試験監督負担軽減対策」を韓国教育部(省に相当)と全国市道教育監協議会に要求した。上記の6団体は「政府は非常に責任の重い修能監督の負担を教師たちに押し付け、教総などの要求からは顔を背けている」として3項目の要求を突き付けた。3項目とは「試験会場を見渡せる高さの椅子」「試験監督を務める教師の増員」「大学教員の試験監督参加」などだ。

 毎年修能が近づくと、全国の高校は試験監督の募集に頭を痛めている。教師たちは誰も試験監督をやりたがらないからだ。

 教師たちが試験監督を行う際の負担として指摘するのは大きく二つある。一つは10時間近く立ち続けることによる身体的な負担で、もう一つは受験生たちの間から「試験監督が動き回って問題を解けなかった」などの不満が出るのを恐れる精神的なプレッシャーだ。ところが教員団体が身体的な負担軽減のため求めている高い椅子と試験監督の増員について、教育部は「受け入れられない」としている。教育部のある関係者は「高い椅子に座って監督をすれば、その近くにいる生徒たちが落ち着かなくなってしまうし、立って動き回るよりも監督業務がずさんになる恐れもある」と主張する。

 試験監督を増員し2交代制とすることについても教育部は「現実的に難しい」との立場だ。今年の修能は54万8000人が受験することから、試験監督は7万5000人が必要と見込まれている。これを2交代制とする場合は2倍の15万人の試験監督が必要となる。

 教育部は今年からソウル特別市をはじめ全国の道や広域市などの教育庁職員の中から希望者に試験監督を担当させる方向で検討中だ。また現在13万ウォン(約1万2000円)の手当も来年から14万ウォン(約1万3000円)に引き上げるという。

 一方で一部の父兄たちは教師が修能の試験監督を嫌うことに不満を感じている。高校生の子供を持つある母親(48)は「1年のうち1日だけなのに、互いにいやがって押し付け合い、しかも椅子に座って監督するというのはちょっと要求し過ぎではないか」と語る。別のある主婦(44)は「大学院生などもっと若い人たちに13万ウォンの手当を支払えば、みんなやりたがるはずだ」と提案した。

郭守根(クァク・スグン)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/10/20 06:04