【ソウル聯合ニュース】韓国の検察は21日、チョ国(チョ・グク)前法務部長官の妻、チョン・ギョンシム東洋大教授に対する逮捕状を裁判所に請求した。私募ファンドへの家族ぐるみの不透明な投資、子どもの入試、親族が運営していた学校法人の訴訟問題など、チョ氏家族を巡る疑惑に対し検察が強制捜査に乗り出してから55日となる。チョン氏は健康に問題があると訴えているが、検察は疑惑の中心にいるとして同氏の身柄確保が必要と判断したようだ。

 この日ソウル中央地検が逮捕状請求にあたって挙げたチョン氏の容疑は10に上る。同氏は娘の釜山大医学専門大学院などへの進学に有利になるよう東洋大総長表彰状を偽造した罪(私文書偽造)ですでに在宅起訴されているが、偽造した表彰状を複数の入試時に利用した私文書偽造行使と、大学などの入学者選考を妨げた公務執行妨害と業務妨害の容疑が新たに加えられた。補助金管理法違反の容疑も記載した。

 不透明な投資疑惑に関しては業務上の横領、資本市場法違反(虚偽申告、未公開情報利用)、犯罪収益隠匿法違反の容疑を挙げた。チョン氏はチョ氏の親類の男(逮捕済み)が実質的な所有者とされる私募ファンド運営会社の株式を借名で保有し、未公開情報を利用して新興企業向け株式市場の上場企業に投資した疑いが持たれている。検察はこの男が投資先の企業から横領したお金がチョン氏に流れたとみて、横領容疑もあるとした。チョン氏が証券会社の社員を使って自宅と東洋大の研究室にあるパソコンのハードディスクを交換したことについては、証拠偽造教唆(きょうさ)と隠匿教唆の容疑とした。

 チョン氏は今月3日から16日までの間に6回、検察の聴取を受けた。同氏が健康上の問題を理由に聴取の途中で帰宅した日があり、検察も深夜の聴取は避ける方針だったことから調べが長引いた。チョン氏は自身にかかわる疑惑のほとんどを否定したとされる。

 こうした場合、検察は一般的に証拠隠滅の恐れを理由に逮捕状を請求することがほとんどだ。だが、夫のチョ氏の法務部長官辞任を前後し、チョン氏側は脳腫瘍と脳梗塞の診断を受けたとして検察に「入退院確認書」を提出した。それでも検察は同氏の健康状態が逮捕状発付是非を決める裁判所の審査とその後の手続きに十分耐え得ると判断して逮捕状請求に踏み切ったとみられる。

 チョン氏の逮捕状が発付されれば、検察はチョ氏家族に対し強引な捜査を行ったという批判と政治的な論争を抑え込むことができる。逆に逮捕状請求が棄却されれば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の責任が取り沙汰され、進退問題にかかわる可能性もある。

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