https://i.imgur.com/37OWtUU.jpg

二〇一七年八月の国連安全保障理事会決議で全面的に禁じた北朝鮮産の石炭輸入に関与したとして、韓国政府が一八年八月以降に入港禁止にした複数の船舶が、措置後少なくとも計二十六回日本各地に寄港していたことが分かった。韓国の入港禁止前を含めると、石炭禁輸の国連決議後の日本寄港は百回を超した。前後にロシアや中国を訪れており、産地をこれらの国など北朝鮮以外に見せかけ制裁を逃れる不正取引に、日本の港湾が使われた恐れがある。

 民間会社の船舶追跡データや海上保安庁の情報を共同通信が集計した。安倍晋三首相は六月の日米首脳会談で国連決議の「完全履行」を確認したが、核・ミサイル開発の資金源となる石炭密輸に関わった疑いがある船が自由に出入りしていた実態が明らかになった。

 韓国は一八年八月以降、一七〜一八年にロシア産と偽って北朝鮮産石炭を持ち込んだなどとして関係者を摘発。不正に関与した計十隻を入港禁止にした。うち二隻は国連も一八年三月公表の報告書で石炭密輸に関わった疑いを指摘していた。

 国連決議後、十隻のうち八隻が日本に寄港。韓国の入港禁止後も六隻が日本に寄港した。一隻は韓国入港禁止直後に船名や船籍を変え、北海道、新潟、秋田の港に入った。

 日本には北朝鮮船籍の船の入港を禁ずる特定船舶入港禁止特別措置法があるが、いずれもパナマなどの船籍だった。

 海上保安庁による日本入港時の検査では禁輸物資の持ち込みなどは見つからなかったが、国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルのメンバーを務めた古川勝久氏は、北朝鮮は商業活動に紛れ込ませて密輸を隠蔽(いんぺい)しており「通常検査で違反を見分けるのは困難だ」と指摘している。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019102102000109.html
東京新聞 2019年10月21日 朝刊