東南アジア競技大会(シーゲームス)の選手受け入れをめぐる宿泊施設などの混乱について、ドゥテルテ大統領が怒り、調査を命令した。
混乱について、大統領府はすでに2回、関係各国に謝罪している。カエタノ下院議長が会長を務める大会組織委員会(PHISGOC)や他の競技団体などの運営にも批判が出ており、大会の混乱が政争に発展する可能性も出てきた。
パネロ大統領報道官は26日、国営フィリピン・ラジオで「大会組織委員会がきちんと準備していれば、こうした問題は起こりえなかった。だから大統領が怒ったのだ。組織委員会は寝ていてはいけない。仕事をしろ」とまで発言した。
同報道官はまた同日、大統領の訪韓に同行した記者に対して、さまざまな混乱に加えて、運営をめぐる詐欺や不正の可能性にも触れて「大統領は調査を望んでいる。大統領は腐敗を許さない」とも語った。
調査の対象にカエタノ
下院議長が含まれるのかとの質問には「(大会組織委員会という)組織を調査する場合には、すべてが含まれる」と回答。大会組織委員会が公的な組織でなく、民間の組織であることに対する批判には「国の巨大なイベントを民間団体に任せるのは避けた方が良かったかもしれない」とも語った。
混乱が表面化したのは、大会最初の競技、ポロが始まった24日。マニラ空港に到着したサッカー男子チームの受け入れで、迎えのバスが来ない、ホテルの部屋が準備されていないなどの苦情が相次いだ。組織委員会は同日、輸送とホテルの手配に関する混乱について、東ティモール、ミャンマー、カンボジアの3カ国のチームに謝罪文を出し、大統領府も謝罪した。
批判の矢面に立たされているカエタノ下院議長も同日夜、不便をかけた東ティモール、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、ブルネイの選手たちと会い、輸送の遅れと宿泊の問題について、個人として謝罪している。
比代表も「食事粗末」
その後も、女子サッカー比代表からホテルの部屋が用意されていなかったことや食事が粗末で栄養が足りないなどの苦情が出た。外国チームからは(1)試合会場が遠く、ホテルを変更しないといけなくなった(2)イスラム教徒用のハラル食が用意されていないなどの苦情も新たに出た。25日に始まったサッカー会場のリサール・メモリアル・スタジアム(マニラ市)ではプレスルームの設営が間に合わなかった。
混乱についての情報はSNSで飛び交い、シンガポールやタイなどの新聞でも報道された。26日まで韓国・東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議のため訪韓していたドゥテルテ大統領は、受け入れをめぐる混乱がASEAN各国でも話題になっていることを知り、怒りを爆発させたらしい。
よくあること?
一方、ポロの代表選手でもあるロメロ下院副議長(比例代表選出)は「同じような受け入れの不備は、我々比側もタイ、インドネシアの大会で経験、ミャンマー大会では私自身も体験した。新しいことではない」と発言。午前4時に約80人の外国人選手が到着するのは予想されていなかったことや、今年の予算の成立の遅れも大会の準備に影響した要因の一つであることを指摘した。
元大統領補佐官のボン・ゴー上院議員は、委員長を務めるスポーツ委員会で、大会運営をめぐる混乱や経費について調査を進める意向を表明している。(谷啓之)
http://www.manila-shimbun.com/category/society/news248353.html
まにら新聞 2019.11.28