ドイツ・ミュンヘンで15日夜(日本時間16日未明)に行われた日中外相会談では、4月上旬に予定する習近平国家主席の国賓来日に向け、緊密に連携して準備を進めることを確認した。ただ、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスは依然として中国で猛威をふるっており、収束はいまだに見通せない。習氏の来日は中国の今後の感染対策や内政事情も絡み、なお流動的だ。

 茂木敏充外相は会談で、感染拡大の防止と事態の早期収束に向けた最大限の努力を求めた。中国の王毅国務委員兼外相は「習氏の指導の下、14億人の中国国民が団結して感染拡大の防止に全力で取り組んできている」と強調した。

 しかし、中国でウイルス感染による死者は、16日午前0時(日本時間同午前1時)時点で前日から142人増の1665人となるなど、拡大する一方だ。

 習氏の国賓来日は与野党から反対論が出ている。それでも政府は「日中両国は世界の平和と安定に責任を有している。それを果たす意思を内外に示す機会にしたい」(安倍晋三首相)として準備を進めてきた。

 だが、来日予定まで1カ月半に迫る中、政府内には、中国側が感染対策に追われ、延期を余儀なくされるとの見方が増えている。

 感染の蔓延(まんえん)で、中国でも、3月5日に開幕予定の全国人民代表大会(全人代=国会)の延期論が浮上している。開幕が3月下旬以降にずれこめば、外交日程に影響が出るのは必至だ。

 過去には、中国の国家主席が国賓来日を延期した例もある。平成10年には、江沢民国家主席(当時)が9月6日から11日までの日程で国賓として来日することが決まったが、日程発表の2週間後、中国側が国内の洪水被害を理由に延期を申し出た。結局、江氏の来日は11月になった。

 習氏の具体的な来日時期は、今月28、29両日に来日する中国の外交担当トップ、楊(よう)潔(けつ)●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(ち)中国共産党政治局員が日本側と協議する見通しだ。表向きの対応とは別に、政府は「中国は内政が優先だろう。まだ何があるか分からない」(外務省幹部)として、中国側の動向を注視している。(原川貴郎)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200216-00000539-san-pol

2/16(日) 20:09配信