ベトナム当局によると、人民武装警察部隊の海警(CCG)が4月2日未明、係争中のパラセル諸島付近で漁船を沈没させたと非難し、北京に公式抗議を申し立てた。中国は、ベトナム漁船が中国沿岸警備隊の船に突っ込んで自ら沈んだと主張している。
両国の主張が異なっていても、国務省の声明は、中国側の行動に起因すると確信している内容だ。モーガン・オルタガス米国務省報道官は「事件は、海上での不法な航行と主張で、東南アジアの近隣諸国に不利益を与える中国側の最新の行動だ」と説明した。
「中共ウイルスの感染拡大以来、北京はファイアリー・クロス礁とスービ礁に建設した軍事基地に新たな『研究基地』を発表し、特殊軍用機を着陸させた」とオルタガス氏は述べた。「中国はまた、スプラトリー諸島周辺に海上民兵を配備し続けている」と書いた。
「私たちは中国に対し、南シナ海での違法な主張を拡大するために(パンデミックと戦っている)他国の弱さを悪用するのをやめるよう求める」と同報道官は述べた。
同報道官は、米国は、南シナ海地域における中国の海洋請求権を棄却した2016年の国際海洋法廷判決を支持していると付け加えた。
ベトナムのメディアによると、4月3日午前0時頃、クアンガイ省の漁船「QNg 90617」がパラセル諸島の中国占領下にあるウッディー島の近くで行方不明になったと報じた。他のベトナム漁船が捜索したところ、中国海洋警備隊の船の存在が明らかになったという。中国海洋警備隊は4日、行方不明になった船の漁師8 人を、ベトナムに移送した。
ベトナム外務省報道官は、中国海洋警備隊によるベトナム漁船の「自らぶつかって沈んだ」との主張を否定し、漁船は沈められたと非難した。また、中国に対して損害賠償を求めた。
活発化する中国の海洋行動
南シナ海のみならず、太平洋地域においても中国漁船と衝突事故が相次いでいる。台湾周辺海域では、海上民兵が操作していると疑われるスピードボート10隻が、台湾沿岸警備隊に繰り返し突進した。NHKなどによると、3月30日、屋久島650キロメートル東の東シナ海公海上で、巡回中の海上自衛隊の護衛艦と中国の漁船が衝突した。護衛艦には左舷側に縦20センチ、横1メートルほどの穴があいた。このことから、側面からの衝突があったと見られる。
米海軍大学連絡官で米海軍大学インターナショナル・プログラム教授の山本勝也氏が自衛隊幹部学校の公開した資料によると、中国の「民兵(ミンビン)」とは、中国の国内法令に明確に規定された「人民解放軍現役部隊」「予備役部隊」「人民武装警察部隊」と並ぶ軍事部隊。ミンビンには決まった軍服があって、階級章には民兵(Min-Bing)を意味するMBが記されている。
山本教授によると、海上民兵は、人民解放軍海軍、公安局海洋警備隊に次ぐ第三の海軍力であり、その適切な説明は「中国海上ミンビン部隊」だと解説している。
(翻訳編集・佐渡道世)
https://www.epochtimes.jp/2020/04/54431.html
大紀元 2020年4月7日(火)
https://i.imgur.com/VTKSteO.jpg
4月3日、ベトナム漁船に接近する中国海洋警備隊の船(スクリーンショット)
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