韓国銀行が今年の国内総生産(GDP)成長見通しをマイナス0.2%に大幅に下方修正した。これまでの見通しの2.1%より2.3ポイントひきさげた。新型コロナウイルスの感染拡大が経済全般に及ぼす衝撃がそれだけ大きいという判断からだ。韓国銀行がマイナス成長の見通しを出したのは金融危機当時の2009年7月のマイナス1.6%以来11年ぶりだ。

韓国銀行は28日に「5月の経済展望」を発表し、今年成長見通しをマイナス0.2%で修正した。来年は既存の2.4%から3.1%に引き上げた。今年の衝撃にともなうベース効果を反映したものだ。ひとまず今年は暗鬱な成績表が避けられないと判断した。韓国経済がマイナス成長をしたのはGDP統計を取り始めた1953年以降では1980年のマイナス1.6%と1998年のマイナス5.1%の2度しかない。マイナス成長が見込まれた2009年も実際の成長率は0.2%だった。

米中貿易紛争の緩和と半導体景気の回復などにより昨年より成長率が改善するだろうという当初の予想は完全に消えた。最初から最後まで新型コロナウイルス問題。韓国銀行のイ・ファンソク副総裁補は「成長経路の不確実性がいつになく大きい。国内景気は上半期中に大きく萎縮し、下半期から消費と輸出の回復で緩やかに改善されるだろう」と話した。

◇史上初のシナリオ別見通し…最悪時はマイナス1.8%

韓国銀行の今回の見通しはGDPを構成する輸出・消費・投資のすべての不振に基づいたものだ。3月までそれなりに持ちこたえていた輸出は4月から下げ幅がもっと大きくなった。前年同期と比較して4月は24.3%、5月は20日までで20.3%それぞれ減少した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で国際貿易が凍りついた余波だ。半導体はそれなりに善戦しているが、自動車と石油製品のような別の主力品目は輸出が前年比の半分にも満たない状況だ。

販路がふさがれれば企業が経営に悩まされるのは当然だ。5月の製造業業況BSI(企業景況調査指数)は4カ月連続で下落して49まで落ちた。金融危機の余波が押し寄せた2009年2月の43以降で最も低い数値だ。売り上げと稼動率、資金繰りのすべてで悲観的な回答が大きく増えた。緊急災害支援金支給などの影響で過去最低水準まで落ち込んだ消費者心理指数(CCSI)は反騰に成功した。だが完全な回復とみるには早い。内外の消費が回復するには新型コロナウイルスが終息するという明確なシグナルが必要だ。当面は厳しい。

凍りついた雇用市場も時間が必要だ。統計庁によると4月の就業者数は前年同月比47万6000人減った。通貨危機の影響で65万8000人減った1999年2月以降で最大の減少幅だ。イ副総裁補は「サービス業は下半期に緩やかな回復傾向を示すだろうが、製造業は業況不振で就業者数の減少幅が拡大する見通し」と話した。

韓国銀行の見通しのマイナス0.2%は新型コロナウイルスの新規・残存感染者数が4−6月期中にピークとなり、封鎖措置が徐々に緩和するのを前提とした。この日韓国銀行は過去初めてシナリオ別の成長見通しを公開した。基本シナリオより早く新型コロナウイルス問題が沈静化する場合には0.5%の成長が可能とみた。だが感染者数のピークが7−9月期にずれ込み、封鎖措置緩和も遅れればマイナス1.8%まで落ちることもあるという判断だ。

(中略)

マイナス成長の見通しにも現時点では新型コロナウイルス問題が早期に沈静化すること以外にこれといった反転カードがない。資本市場研究院マクロ金融室長のカン・ヒョンジュ氏は「市場はV字反騰を期待するが、感染者数が再度増える最悪のシナリオも念頭に置かなければならない。その場合、実体経済が受ける2次衝撃が金融市場にも転移しかねない」と話した。

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版 2020.05.28 18:03
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