韓国政府が日本の輸出規制に対する世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを再び開始する。産業通商資源部のナ・スンシク貿易投資室長は2日「暫定停止していた日本による3品目の輸出制限措置に対するWTOの紛争解決手続きを再開することを決めた」と発表した。

産業部は先月12日、日本政府に5月末までに輸出規制の撤回に対する立場を明らかにするよう求めたことがある。日本側が輸出規制の理由として前面に出した3つの要素が解消されたという理由からだ。

ナ室長は「(先月末)日本の回答があったが、期待していた回答ではなかった」と伝えた。

彼は「日本政府は問題解決の意志を見せなかった。懸案解決に向けた議論は進展していない」として「WTOの紛争解決手続きを通じて日本側措置の違法性と不当性を客観的に立証することで韓国企業の正当な利益を保護し、世界のサプライチェーンに生じた不確実性が解消されるように取り組みたい」と話した。

韓国政府が国際訴訟という強攻をまた選んだのは「損することはない」という判断がある。産業部によると、今年1〜5月日本向けの累積輸出額は110億200万ドル(約1兆2000億円)で前年より8.2%減少した。

この期間、全体の輸出額が11.2%減少したことを考えると、新型肺炎危機の中でも対応に成功したといえる。同期間、日本向けの輸入減少率は10.0%で輸出減少幅より大きかった。

このような自信に基づいて政府が長期戦を選んだという分析だ。WTOの紛争解決手続きは協議要請から最終段階である勧告・決定履行計画の報告まで経るべき関門が多い。韓国政府は昨年、WTOに提訴することで以前の2段階である協議要請、協議はすでに完了した。

協議が不発に終わったことから韓国政府はすぐに該当案件を審議するパネル設置の手続きに履行するものとみられる。

これを受け、茂木敏充外相は遺憾の意向を明らかにした。茂木外相はこの日、記者会見で「輸出管理の問題については、これまで当局間で対話が継続してきたにもかかわらず、韓国側が一方的に(WTO手続きの再開を)発表を行ったことは遺憾だ」とし「輸出管理の見直しは、制度の整備や運用実態に基づき行われるべきだという考えに変わりはない」と強調した。

これで昨年11月韓国政府が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定の効力を猶予し、12月中国で両国首脳会談が開かれた後小康状態を保ってきた両国間葛藤が再点火する可能性が大きくなった。

外交部は今後、GSOMIA終了のカードまで検討する可能性があると明らかにした。外交部のキム・インチョル報道官は「GSOMIAの効力をいつでも終了させる可能性があるという前提の下に昨年韓国が協定終了通知の効力を停止した状況」とし「議論動向により(GSOMIAの終了も)慎重に検討する予定」と明らかにした。

しかし、GSOMIAの終了は韓日葛藤が韓米葛藤に広がり得るため、現在としては可能性が大きくないという観測が多い。米国政府は昨年8月韓国政府が日本にGSOMIAの終了を通知した当時、公開的に強い遺憾の立場を明らかにしたことがある。

新型肺炎にともなう経済危機と米中紛争など不確実性が大きくなっている中で、韓日関係を再び最悪の状況に追い込んでいるのが適切なのか苦悩が深まりつつある。


中央日報/中央日報日本語版 2020.06.03 07:11
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