今年のG7議長国である米国のトランプ大統領が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を今年秋に米国で開催されるG7首脳会議に招待した。電話で自ら招待の意向を伝え、文大統領は中国のため慎重な態度を見せるはずという予想とは違って快く受諾した。その2日前にトランプ大統領は「時代に遅れたG7では現在の国際情勢を反映しがたい」とし、韓国・インド・オーストラリア・ロシアを招待対象に挙げた。文大統領との電話でも同じ話をし、追加でブラジルに言及したりもした。

メンバー拡大構想と共に出てきた招待であるだけに、一回きりでなく正式メンバーとして韓国を迎えるという意味と解釈される余地を残した。

電話会談の翌日、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)はG7の拡大と韓国の参加を既成事実化した。トランプ大統領が韓国をG7首脳会議に招待したのは「一時的オブザーバーの資格ではなくG11またはG12という新しい国際体制の正式メンバー資格」とし「これは韓国が世界の秩序を率いるリーダー国の一つになるという意味」と説明した。G20からさらに一歩進んでG7に上がれば「国格の上昇と国益にプラスになる」という言葉を付け加えた。

しかし一日も経たないうちから青瓦台が性急に反応した点が表れている。すぐに欧州側から反発が出てきた。欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表は「構成員を変え、永久的に構成方式を変更するのは、G7議長国の特権でない」と強調した。議長国の資格でゲストを招待することはできるが、メンバー拡大は米国が思いのままにできるものではないということだ。ボレル上級代表の言葉はフランス・ドイツ・イタリアなどG7内のEU加盟国の意見を代弁したものと見なければいけない。

新規メンバーは自国の地位が最高先進国グループのG7水準に上がると見るだろうが、従来のメンバーは新しく入ってくる国々のレベルに自分たちの地位が落ちると見るだろう。新型コロナ事態でG7国家の地位は大きな打撃を受けた。一方、韓国は防疫成功の模範事例と評価され、地位が上がった。とはいえ韓国を自分たちと同級と見ることにはならないというのがG7メンバーの内心だろう。

日本はなおさらだ。アジアで唯一持つG7メンバーシップに対する日本人の自負心は相当だ。東洋で初めて近代化を成し遂げて「脱亜入欧」に成功した日本に対する西洋人の礼遇で日本はG7地位を受けている。植民地だった韓国が自分たちと同等なレベルに上るのは日本としては耐えられないだろう。一回きりのオブザーバーで参加するのならまだしも、正式メンバーの地位なんて話にならないという激高した反応がオンラインにあふれている。

トランプ大統領が述べたG7体制の改革の必要性は、2008年のグローバル金融危機をきっかけにスタートしたG20体制にすでに反映された。ロシア外務省の報道官が指摘したように、G20があるにもかかわらずG11やG12を新しく作る理由があるのかという声が高まるしかない。それで出てきたのが中国排除論だ。

ホワイトハウスは韓国などをG7首脳会議に招待する理由を「中国の未来をどう扱うべきかを議論するために米国の伝統的同盟国を1カ所に集めようという意図」と説明した。トランプ大統領の招待は、新型コロナ責任論と中国の香港国家安全法の通過などで米中間に新冷戦様相が露骨化している状況で、反中・親米連帯に列に並べという招待状と解釈できる。

新型コロナのパンデミックを経て韓国の国際的地位は変わった。ようやく先進国隊列にのぼったという国民的な自負心も強まった。このような時に名実共に最高の先進国クラブ入りを意味するG7首脳会議への招待は、断るのが難しい提案だっただろう。しかし、まだだ。英国やフランス水準の国内総生産(GDP)規模から備えるのが正しい。いま入ればトランプ大統領の配慮(?)による「定員外入学」として後ろ指を差されるおそれがある。

トランプ大統領の甘い提案を直ちに受け入れる前に、韓国はG7メンバーの共感から確認すべきだった。それが外交実務者の役割だ。トランプ大統領の話だけを信じて「キムチの汁から飲む(=捕らぬ狸の皮算用)」格好になる可能性が現在のところ高いようだ。コロナ防疫の成功に陶酔し、この機会に最高先進国クラブまで進入したいという欲がもたらした外交の恥にならないか心配だ。参謀が反対してもトランプ大統領が強行して実現した米朝首脳会談の記憶が依然として強烈に残っているのかもしれない。

ペ・ミョンボク/中央日報コラムニスト

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2020.06.04 14:43
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