「ネイチャー・インデックス」で韓国特集号 トップダウン方式から基礎研究を中心とするものに転換 共同研究パートナーは米国に次いで中国が浮上


 国際学術誌「ネイチャー(Nature)」が、韓国の科学技術が政府主導のトップダウン方式から研究者中心の基礎研究に転換しつつあるとの分析を掲載した。

 ネイチャーは5月27日に公開した「ネイチャー・インデックス2020韓国特集号」で「韓国が研究や体系的改革、人材モビリティーへの投資を通じてイノベーションの世界的リーダーとして浮上した」と評価した。

 ネイチャー・インデックスは、自然科学分野の世界トップ82位までの刊行物に掲載された論文を、機関と国家別の論文数(count)と共有数(share)で分析し、順位を決定する。刊行物に掲載された研究論文の寄与度を分析し、機関と国家別の論文の著者の割合を基に順位付ける。

 ネイチャーは、1993年に韓国特集を行って以来27年ぶりに「韓国科学技術特集号」を発刊した。特集号は、基礎研究と独創的な研究開発に投資し、「先導者(first mover)」になろうとする韓国の研究戦略にスポットを当てた。

■GDPに占めるR&D投資の割合で世界第2位に

 ネイチャーは「韓国の国内総生産(GDP)に占める研究開発(R&D)支出の割合が2000年の2.1%から18年には4.5%以上へと成長した」とし「これは1位のイスラエルに次いで世界第2位」と説明した。

 さらに、こうした研究開発投資は単に経済成長を維持するための「早い追従者(fast follower)」ではなく「先導者(first mover)」になるという国家目標が反映されたもの」とした上で「この点を特集号で集中的に取り扱った」と明らかにした。

 韓国は、政府主導の応用研究を通じて、半導体と無線通信で世界的な国家として跳躍したという評価を受けた。ここ10年間、こうした応用研究を中心とするものから脱し、基礎研究に投資すべきだというコンセンサスが生まれた。経済成長に必要だった「ファスト・フォロワー」政策から「ファースト・ムーバー」になるための努力が必要だというのだ。

 韓国政府は最近、研究者主導の創意的研究に対する支援を強調し始めた。最近、政府は研究者を中心とする基礎研究予算を2025年までに2兆5000億ウォン(約2200億円)にまで増やすという計画を打ち出した。

2020年の政府によるR&D投資は昨年に比べて18%増となる24兆2000億ウォン(約2兆1500億円)に上る。
 韓国全体のR&D支出の4分の3を占める民間部門では、サムスンやLGなど主な大手企業の基礎研究投資も急増した。国家科学技術諮問会議のヨム・ハンウン副議長(浦項工科大学〈ポステック〉教授)は、ネイチャー・インデックスとのインタビューで「産業界はより多くの博士クラスの研究者を必要としている。投資の観点からはこれに勝るものはない」と述べた。

■共同研究パートナーは米国に次いで中国が浮上

 ネイチャーは、基礎科学に対する韓国の投資がさまざまな部門で肯定的な変化を遂げている、と評価した。韓国はここ4年間にわたり中心的指標となる「共有(share)」で測定した高品質研究の生産量基準で常にトップ10をキープしてきたことが分かった。特に、中国との協力が大幅に拡大。中国が日本を追い抜き、韓国の2番目の共同研究パートナーとなった。韓国の1番目の共同研究パートナーは米国だ。

 ネイチャー・インデックスで開発者を務めるデビッド・スウィンバンクス氏は「韓国は、トップダウン計画を通じて政府、学界、産業界のつながりをより強固なものとし、情報通信技術と革新分野で世界的リーダーとなる礎を築き上げた。トップダウン方式の良い例として韓国が新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の診断キットを速やかに開発し、生産した点を挙げた。

イ・ヨンワン科学専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語
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