韓国国内に拠点を置く複数の北朝鮮人権団体は19日、「脱北民の声を抑制し、北朝鮮住民の人権を黙殺しようとする韓国政府を国際社会が監視し、制裁を加えてほしい」という内容の声明を国連と欧州連合(EU)に送ったことを明らかにした。北朝鮮人権市民連合(NKHR)が中心となった今回の声明には、先日韓国政府が法人資格の取り消しを通知した脱北民団体「クンセム」や「自由北朝鮮運動連合」をはじめ、6・25戦争拉北人士家族協議会、転換期正義ワーキンググループ(TJWG)など21の団体が名前を連ねた。

 彼らは声明で「北朝鮮政権の要求により、最近韓国政府が北朝鮮人権団体に対して取っている一連の措置は、懸念すべき統制の始まりとみている」「韓国は国際社会における普遍的人権の原則を捨て、民主主義まで毀損(きそん)している」と主張した。先月4日に北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長が談話で北朝鮮向けビラ散布を非常に強く非難して以降、韓国統一部(省に相当)は北朝鮮に向けてビラを散布する脱北民団体への捜査を警察に依頼した。

 これについて複数の北朝鮮人権団体は「政府による問題ある措置は、人権の原則や民主主義を毀損する韓国が、国連人権理事国としての地位を引き続き維持する正当性があるのか疑わざるを得ない」「国際社会に対しては、韓国政府に同意していないことを宣明する措置を取るよう要請する」などと訴えた。

 一方で統一部が今月16日から25の北朝鮮人権・脱北民定着支援団体に対する事務検査に着手したことを受け、野党議員の事務所が検査リストの提出を求めたところ、統一部は「閲覧だけなら可能だが、情報提供は難しい」という趣旨の回答をしたことが確認された。検査対象となった団体関係者らの間からは「統一部は文書の発送ではなく電話で日程を通知するなど、行政権を乱用している」との指摘も出ている。

キム・ウンジュン記者

ソース 記事入力 : 2020/07/20 08:29
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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