韓国政府はこのほど、先端産業用の素材・部品の開発促進を目指して、2022年までに半導体や自動車などに関連した技術開発費として5兆ウォン(約4415億円)以上を投じる計画をまとめた。新型コロナウイルスの収束後に同国が先端素材の「世界工場」になることを目指すとしている。

 昨年7月に日本政府が韓国向けの半導体素材3品目の輸出規制を強化して以降、韓国は苦手としてきた素材・部品を自国産で賄う方針に転換している。今回の計画は、日本に依存していた半導体関連に加え、欧米やアジア諸国に頼っていた品目に生産支援の対象を広げた。

 文在寅大統領は、計画の発表に合わせて韓国の半導体大手、SKハイニックスの施設を訪問。日本の輸出規制強化に対して「官民が一体となり、たった一つの生産の狂いもなく危機を克服してきた」と強調し、素材・部品の分野で「世界をリードする」と訴えた。

 ただ、韓国経済に詳しいアジア経済研究所の安倍誠・新領域研究センター長は、韓国は半導体素材3品目でも技術力と採算面で自国生産が難しい部分が残り、他の分野でもどこまで切り替えられるかは不透明だと指摘。今回の計画についても、感染症で世界的にサプライチェーン(部品の調達・供給網)が不安定化したことを受けて韓国経済のリスクを減らす意味合いが強いと分析している。(ソウル 共同)

2020/7/31 05:00
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200731/mcb2007310500003-n1.htm