2002年公開のハリウッド映画『トータル・フィアーズ』には、米国の軍事力の象徴である航空母艦がロシアの爆撃機のミサイル攻撃でむなしく破壊されるシーンがある。

5兆−6兆ウォン(現在のレートで約4500億−5400億円。以下同じ)もする米海軍の「ニミッツ」級空母(9万トンクラス)が、ロシアの超音速爆撃機Tu22M「バックファイア」の発射した数十億ウォン(10億ウォン=約8900万円)台のKh22超音速ミサイルを食らい、無用の長物と化したのだ。

太平洋戦争を契機として巨大戦艦の時代は過ぎ去り、空母の時代がやって来た。空母は、米国はもちろん諸大国が力を誇示する象徴的存在となった。米国は空母王国だ。

旧ソ連は、到底米国に追い付けなくなると、空母をたたくための攻撃用原潜や対艦巡航ミサイルを発展させた。米国に挑戦している中国も、空母戦力の建設に拍車を掛けている。

日本は、太平洋戦争初期の時点では世界最大の空母大国だった。降伏後は空母を持てずにいたが、中国の台頭、トランプ大統領の登場に乗じて軽空母を保有しようとしている。

「いずも」型ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)2隻を2025年ごろまでに軽空母へ改造し、F35Bステルス垂直離着陸戦闘機を積む計画だ。

すると韓国政府と韓国軍も、2030年代前半の実戦配備を目標に、3万トンクラスの軽空母とF35B配備を推進するという。軽空母配備で、安全保障に役立つ側面もあるだろう。

しかし軽空母は、5兆ウォン以上もの大変な予算がかかる事業だ。運用費もばかにならない。その効用性をきちんと問うてみるべきだ。

空母保有国は、ほとんどが広い海や海外活動領域を持っている。日本の排他的経済水域は韓国の8倍を超える。専門家らは「韓国の近海、とりわけ西海は幅が狭く、空母が作戦する上で極めて脆弱(ぜいじゃく)」と語る。

中国は、「空母キラー」の対艦弾道ミサイルを実戦配備した。また中ロは、マッハ10以上の極超音速ミサイルも配備している。日本もきちんとこれについていっている。

韓国には、これを防御する手段がない。有事の際、韓国の軽空母が中・日・ロにとってお手軽な「高価値ターゲット」になる−という意味だ。

韓国には、F35Bより武装の量が多いF35Aが必要だ。ところが、F35A配備の予算でF35Bを買うのではないか、という懸念が持ち上がっている。さまざまな論争にもかかわらず、むしろ軽空母配備に速度が出ているのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領のせいだという話が絶えない。

青瓦台(韓国大統領府)が「日本の軽空母より韓国のものの方が大きいということを積極的にPRすべき」と言った、という話も聞かれる。冷徹に分析、推進すべき戦力増強すら反日の政治論理の影響を受けているのではないかと懸念される。

ユ・ヨンウォン論説委員・軍事専門記者

2020/08/08 14:43/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/08/07/2020080780115.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/08/07/2020080780115_2.html

★1
https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1596870546/