リーさんは6年前に、身の安全を求めて韓国へと脱北。だが、韓国のスパイに会ってから、別の悪夢が始まった。
そのスパイにレイプされたという。
「自分自身に腹が立った。
身を守るか、ナイフで戦うべきだったのに、その時私は反撃できなかった」
被害者はリーさんだけではないかもしれない。
韓国在住の脱北者は、72%以上が女性。うち少なくとも4分の1は、韓国で性的暴力を受けたが、女性家族部の2017年の調査では、助けを求めたのは10%未満だった。
リーさんに性的虐待を加えたのは、「ドクター・ソン」と名乗る謎の男。新しい人生を助けてくれる、父親のような存在だったという。
リーさんは北朝鮮の軍事研究所で働いていたことがある。ソンは、情報提供の見返りにリーさんに金を支払い、北朝鮮の秘密警察に拘束されていた兄との再会も手伝ってくれた。
だが、まもなくソンと、キムと名乗るその同僚は、リーさんに性的虐待を加え始めた。
性的虐待は1年半も続き、2回の中絶を強いられた。
「彼らは、脱北後私が初めて信頼し、尊敬し、頼りにしていた人々だった」
軍当局は9月、中佐と下士官各1人を、性的暴行とレイプの容疑で起訴したが、2人ともレイプ容疑を否認。同意の上だったと主張している。
リーさんの弁護士は韓国の制度が、脱北者が弱みにつけ込まれる原因を作っていると主張。
チョン・スミ弁護士
「女性らは断ることができず、服従しなければならず、要求されれば真夜中でも出向かなければならないという。脱北者に対する韓国の監視制度では、ただの公務員でも、神のように絶対的な力を与えられる」
脱北者らは、北朝鮮との関係改善を優先事項としている文在寅政権が、脱北者の政治活動を圧迫し、一部を強制送還するなど、脱北者の権利を無視していると訴えている。
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