韓国の昨年の外国人直接投資(FDI)が6年ぶりの最低水準となった。新型コロナウイルス感染症の影響で投資の不確実性が高まったからだ。ただ、こうした状況でも第4次産業革命関連産業の投資規模と比率は増えた。

◆外国人直接投資は6年ぶり最悪

産業通商資源部は12日、昨年のFDIを申告基準で207億5000万ドル、到着基準で110億9000万ドルと発表した。前年比で申告基準(−11.1%)、到着基準(−17.0%)ともに2年連続の2けた減少となった。

投資規模でみると、申告基準は2014年(190億ドル)以来6年ぶり、到着基準は2013年(98億4000万ドル)以来7年ぶりの最悪だ。

昨年の外国人直接投資規模が減少したのは、新型コロナの影響で投資の不確実性が高まったからだ。感染拡大がピークだった昨年上半期の申告基準FDI(76億6000万ドル、−22.4%)は前年同期比で大幅に減少した。ただ、防疫状況が比較的安定してきた下半期(130億9000万ドル、−2.8%)には小幅減少にとどまった。

◆新産業への投資は増加…先端素材・部品・装備は善戦

厳しい投資環境の中でもビッグデータ・バイオ・人工知能など第4次産業革命関連の新産業への投資はむしろ増えた。産業部によると、申告基準で昨年の新産業投資規模は84億2000万ドルと、前年比で9.3%増加した。全体産業で新産業が占める比率(33%→40.6%)も40%増となった。新型コロナで非対面経済が新たに浮上し、企業のデジタル転換のためのデータセンター、電子商取引サービス物流センターなどインフラ確保型の投資が多かった。

実際、米国ある企業は国内企業のアジアサービス拡大に向けたデータ増設に昨年だけで2億ドルを投資した。国内診断キットが注目され、台湾のある企業は国内診断キット生産会社に1000万ドルを投資した。

半導体・二次電池・エコカー部品など先端素材・部品・装備投資も前年比で小幅減少(−7.0%、申告基準)と善戦した。投資規模は小さいが、再生可能エネルギー分野のFDIも前年比で倍以上(101.4%、申告基準)増えた。

◆日本からの直接投資は半減

国別にみると、貿易紛争中の日本の対韓投資は昨年、大幅(−49.1%、申告基準)に減少した。また申告基準で米国(−34.5%)、欧州連合(−33.8%)の減少幅も目立った。

しかし中国・香港・シンガポールなど中華圏(26.5%)からの直接投資はむしろ大幅に増加した。特に中国は申告基準で昨年のFDIが19億9000万ドルと、前年比で倍以上(102.8%)増えた。

◆外国人直接投資 「今年も厳しい」

今年からは新型コロナワクチン普及が本格的に始まるが、FDIの見通しは良くない。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、今年の世界FDIは前年に続いて5−10%減少すると予想した。

新型コロナ事態が落ち着かないうえ、米国のバイデン新政権発足、英国のEU離脱の影響で投資の不確実性が続くからだ。韓国も新型コロナ防疫状況のほか、米中の貿易紛争など投資障害要素が多い。

産業部は「新産業、先端素材・部品・装備・R&D、グリーンニューディールなど我々の産業高度化に寄与する投資を積極的に発掘・誘致し、FDIのプラス転換のために努力する」と明らかにした。


https://news.yahoo.co.jp/articles/b6257740142cb0df1ab27b46a43fb205e5ec7629