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 韓国人の多くはこの李知事の心地の良い発言に酔いしれるかもしれないが、傍から見ると、虚勢にしか聞こえない。そのことは先の真鍋淑郎氏のノーベル物理学受賞のニュースに接した韓国の反応からも窺い知れる。一言で言うと「またか、それにしても日本は凄い!それに較べて我が国は。。。とほほ」というものであった。

 ノーベル賞を受賞した日本人は28人。国別ランキングでは世界で7番目に多いノーベル賞受賞国である。受賞者の中には化学、生理学・医学、物理学など基礎科学と源泉技術の象徴である科学分野の受賞者が25人も含まれている。

 これに対して韓国はたったの1人、それも平和賞である。ちなみに平和賞は日本も佐藤栄作元首相が1974年に受賞している。

 経済、社会、文化の発展を担保する科学技術の水準では韓国はまだまだ日本よりも遅れを取っているのが実情である。そのことを立証したのが、およそ2か月前の「韓国が日本に勝てる?・・・依然として科学技術に差が」との見出しの韓国経済紙「アジア経済」の記事(8月16日付)である。

 同紙は今年3月に韓国科学技術通信部が2年ごとに発表している「11大分野主要先進国と韓国の技術水準評価」のデーターを参照し、日本と韓国の科学技術水準を比較していたが、韓国が日本よりも先行している分野は一つもなかった。

 米国のレベルを100とすると、「宇宙・航空・海洋分野」は日本83.5%に対して韓国68.4%、「機械・製造分野」は日本90.3%対韓国80.7%、「素材・ナノ分野」は日本97.6%対韓国80.8%、「エネルギー・資源分野」は日本91.0%対韓国80.2%と、韓国はどれもこれも日本の後塵を拝している。

 また、「環境・気象分野」では日本90.0%対韓国81.1%、「農林・水産・食品分野」では日本88.4%対韓国81.%、「災害・安全分野」では日本87.8%対韓国80.4%と、この3つの分野でも韓国は後れを取っている。

 但し、先端技術である「ICT・SW分野」(日本84.3%対韓国83.0%)、「国防分野」(日本77.0%対韓国75.0%)、「建設・交通分野」(日本89.1%対韓国84.0%)、「生命保険分野」(日本81.6%対韓国77.9%)ではその差は縮まってきているが、それでもまだ追い抜いてはいない。

 同紙は結論として韓国の経済・社会・政治・文化などの著しい発展が砂上の楼閣にならないようにするには科学技術発展に多くの努力と投資が必要であると結んでいた。

 韓国では韓国が「昇る太陽」で、日本が「沈む太陽」と評する政治家やメディア関係者が多いが、日本の「経団連」にあたる「全国経済人連合会」(全経連)をはじめとする経済界は冷静で、日本に追いつけるかもしれないが、追い抜くのは容易ではないとみている。

 「全経連」は8月に公表した報告書の中で「韓国はこの30年間に主要経済指標で日本を追い抜いたが、技術競争力では依然として劣勢にある」として、韓国経済が持続的に成長するためには「日本との格差がある科学技術競争力を高めることにある」と分析していた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20211013-00262981