日韓関係の悪化を受け、日本、中国、韓国の首脳による「日中韓サミット(首脳会談)」の開催が2年連続で見送られる見通しとなった。議長国の韓国が日本政府に非公式に意向を伝えた。3か国は年1回、持ち回りでサミットを開くことで合意しているが、2019年12月に中国で開催したのを最後に、再開のめどは立っていない。

 複数の日本政府関係者が明らかにした。

 日韓関係は、韓国の裁判所が日本政府に韓国人元慰安婦への損害賠償を命じた判決や「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」訴訟問題などを巡り、「戦後最悪の状況」(外務省幹部)が続いている。

 韓国の 文在寅ムンジェイン 大統領は日中韓サミットに合わせて日韓首脳会談を開き、日本との関係改善を図ることを模索している。だが、日本政府は韓国側が慰安婦問題などの解決策を提示する見込みがないまま首脳会談を開くことには慎重で、実現に至っていない。

 日中関係も中国海警船による沖縄県・尖閣諸島周辺海域での挑発行為などで緊張が高まっており、日中韓サミットが開かれない一因となっている。

 日中韓サミットは、08年から3か国の持ち回り開催となった。核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応や、経済や防災での協力、人的交流などについて協議してきた。過去にも、日本政府による12年の尖閣諸島国有化に中国が反発し、3年以上開かれなかったことがある。

讀賣新聞 2021/11/13 15:00
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211113-OYT1T50148/