【ソウル=桜井紀雄】韓国の与党「共に民主党」が5月の政権交代を前に、検察から捜査権を全面的に剥奪する法案の成立を目指している問題で、最大野党「国民の力」まで修正案を受け入れたことに反発し、金洙(キム・オス)検察総長や最高検次長検事、ソウルや釜山など全国6高検のトップ全員が22日、辞意を表明した。

検事総長と高検トップが総辞任すれば、韓国検察史上初めてとなる。政権交代までに検察の力をそごうとする現与党と検察の対立がエスカレートしている。

 朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長が22日、法案を巡って続く与野党間の対立を仲裁するため、修正案を提示した。修正案は、検察の直接捜査権と起訴権を切り離した上で、検察が現在、捜査を担う選挙犯罪や大型災害といった「6大犯罪」のうち、汚職と経済犯罪以外の4つを外す。汚職などの直接捜査権も、「韓国版FBI」と呼ばれる「重大犯罪捜査庁」の設置後、廃止する。

 最高検は、修正案は与党案と大枠で違いはないと激しく反発。国会などで関係機関を集めた議論さえ行われなかったと批判した。金検事総長は17日にも辞意を示したが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が慰留していた。

産経新聞 2022/4/22 19:15 桜井 紀雄
https://www.sankei.com/article/20220422-F5HCXQGCEBMM3EVSTJYP65Z7VA/